ビジネスメンタルトレーナー

BOOK 職場性ストレスの取扱説明書

 

職場性ストレスの取扱説明書(表紙)

 

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「職場性ストレスの取扱説明書」木下空
「職場性ストレスの取扱説明書」は、著作権法で保護される著作物です。
取り扱いについては、以下の点にご注意ください。

本著作の著作権は、木下空にあります。
著作権者の事前許可なく、本著作の一部または全部を公開・転載したり
商用・営利目的で使用することを禁じます。

 

はじめに

マネジメンタルトレーナーの木下空です。

この度は、

電子書籍「職場性ストレスの取扱説明書(PDF版)」をお読みいただき、ありがとうございます。

この著作には、私が17年間

「企業体質の腐敗した元国営企業」で管理職としてマネジメントした経験や、

「職場の人間関係の悩み」と向き合い、試行錯誤した経験、

私が学んだ様々な叡智・原理原則などを元に書かれています。

最初に知るべき「基本」です。

何かを修得する時、まずは「基本」を理解し、実践することが重要です。

2020年の新型コロナのパンデミックによって、

現代社会は「超ストレス社会」の様相を呈しています。

日々生まれるストレスに上手く対応するには、

ストレスの仕組み、原因を知ることが重要です。

人は「知らないこと」には対処できずに振り回され続けるからです。

本書を読んで、あなたの「仕事のストレスフリー化」に役立つことができれば幸いです。

 

木下空のプロフィールはこちら
https://kinoshitahiroshi.com/profile/

 

私たちを苦しめる「職場性ストレス」の正体とは?

「仕事のストレス/プレッシャー」

「職場の人間関係の悩み」

「評価に浮き沈みするメンタル」

私はこれらを総称して「職場性ストレス」と定義し、提唱している。

 

現状、あなたは職場性ストレスを抱えているだろうか?

何年も職場でストレス、プレッシャーに苦しんでいる人もいるかもしれない。

 

まずは「ストレス」というものについて理解していこう。

大切なのは、まず、知ること。

人は「知らないこと」には対処できないし、振り回される。

「知らない=未知のこと」に恐怖や不安を感じるようにできている。

まずは「知ること」から始めていこう。

 

・ストレスとは?

ストレスとは、外部からのさまざまな「刺激(ストレッサー)」によって

自分の身体や心にかかる負荷のこと。

本体、人間には「ストレス耐性」というものがあるが、

そのキャパを超えたストレスに継続的に晒されると、様々な心身への不調を引き起こす原因となる。

 

・ストレスの種類

本来、ストレスとは身体や心にかかる「刺激」「負荷」のことであり、

「ストレスそのものが害悪」という訳ではない。

むしろ「適度なストレス」をかけることによって集中したり能力を発揮し、

「目標達成」に進む「アクセル(推進力)」として活用することもできる。

一流のアスリートをはじめ、ハイパフォーマンスを発揮している人は、

意図的に「適度なストレス状態」をつくっている。

 

そして、

実は「ストレスという負荷をかけることで成長できる(自己成長)」という

メリットもあるのだ(筋トレも同じである)

 

「アクセル(推進力)のストレス」とは?

夢や目標に向かうプロセス、チャレンジ、

やりがいのある仕事、豊かな人間関係など、

自分を奮い立たせてくれたり、

充実やワクワクなどの「快の感情」を感じさせる、良い刺激を与えてくれるもの。

自分が前向きな気持ちで取り組む時にかける心の負荷や刺激は、

モチベーションやパワーになる。

「大好きなあの人との恋愛」も、良い意味でのストレスなのだ。

 

「ブレーキ(減速・停止)のストレス」とは?

「人間関係の問題」「嫌な出来事」「したくない我慢」

不安、悲観、イライラ、クヨクヨ、ムカムカ、落ち込む、引きずる等、

自分が後ろ向きな気持ちで取り組むことで、やる気やパワーを失うなどの症状が起こるもの。

身体の不調の原因にもなる(不眠・頭痛・肩こり・腰痛・胸の締め付け等)

 

ストレスの種類

・人間関係のストレス

「ストレスの原因」として、様々な調査で第1位に上げられている。

周りから評価されないことへの不満。

人が自分の思った通りに動かない。期待通りにならない。要求に応えてくれない。

人が口撃、誹謗中傷してくる。嫌な扱いをしてくる。無視される。

尊重してくれない。認めてくれない。愛してくれないなど。

 

全ての人間には「承認欲求」というものがある。

「私を認めて欲しい/尊重して欲しい/共感して欲しい/評価して欲しい/愛して欲しい」

人間は、この為に生きていると言っても過言ではないかもしれない。

それほどまでに強い欲求なのだ。

必然的に、この逆のことをされると大きな苦痛やストレスを感じる。

プライドが傷付いて激怒する人もいる。

ちなみに、人間関係のトラブルの大半は

一言で言ってしまえば「お互いの承認欲求のぶつかり合い」である。

 

・仕事のストレス

仕事が思った通りに進まない。仕事に追われている。

仕事が上手くいかない。ミス・失敗になどによるストレス。

仕事の経験・実力不足から起こる不安やプレッシャー。

今の仕事にやりがいを感じない。やる気が起きない。やりたくない。

会社に対する不満(残業、福利厚生、給与など)

大きな責任への重圧、期日や数字・業績、求められる役割や期待に対するプレッシャー、

異動・転勤などで新しい環境に置かれた時の不安。

また、人によっては、仕事がない・暇であることで生じることもある。

 

・身体的なストレス

睡眠不足によるストレス。激しい運動をすることによるストレス。

デスクワークで長時間椅子に座って疲労が溜まったり、

風邪などの体調不良によるストレス。

パソコン、スマホ等の電子機器を長時間使うことによるテクノストレス等。

 

・「性格(価値観)」から生まれるストレス

「真面目」「完壁主義」「短気」「悲観的」「頑固」「利己的」「モラハラ気質」「気難しい」

「自信がない」「緊張しやすい」「心配性」「攻撃的」などといった内面的特性を持つ人。

自分の考えや気持ちをストレートに表現できず、自分を押し殺して我慢しがちな人。

そういった人は、必然的にストレスが溜まりやすい。

日常において「自分の思い通りにならない」「我慢」などの不満が生まれやすいのだ。

 

私達を苦しめているのは、

「ブレーキのストレス」である。

これは基本的に「少ないに越したことはないもの」なので、

意識して改善施策に取り組んだ方がいい。

 

そして実は、

全てのストレスを「ブレーキのストレス」と「アクセルのストレス」に

分けているのは、その人の「性格(価値観)」である。

個別の出来事に対して「それを自分がどう解釈したか」の話なのだ。

 

人はそれぞれ、自分の価値観に照らし合わせて、

他人の個別の言動や行動に対して

「これは好き/許せる」「これは嫌い/許せない」を判断する。

「これは嫌い/許せない」が不快感情を生み、ストレスになる。

そして、その種類や数は人によって違う。

「性格(価値観)から生まれるストレス」が多過ぎて、

「生きること自体がストレス」という状態に陥っている人もいる。

そこまでの状態に陥ったら、自分で改善するのは難しい。

コーチングやカウンセリング、セラピーを受けることをお勧めする。

 

メンタルにも「体力」がある

人間の身体には、人それぞれ「体力値」がある。

例えば、日頃運動しない人は体力値が低いから、

いきなりフルマラソンを走ることはできない。

ハードな運動をしたら疲労が溜まるから、その後に休養して回復させる必要がある。

そうしないと、いつか壊れる。

 

同じように「メンタル」にも体力値がある。

この認識をちゃんと持っておかないと危ないので、忘れないようにしたい。

「ドラクエ」などのRPGのTVゲームで例えると、

身体的な体力は「HP(ヒットポイント)」

精神的な体力は「MP(メンタルポイント)」と呼ぶとわかりやすいかもしれない。

 

「考える(思考)」「雑念」「想像」「勉強」「悩む」「過去を思い出す」など、

あらゆる意識活動によって、脳は疲労する。

「脳の運動」だと思えばわかりやすい。

運動なので、メンタルの体力を消費するし限界値がある。

実際、脳は大量の「ブドウ糖」を燃料として使っている。

 

脳は大量のエネルギーを使う

ブドウ糖は「脳を正常に働かせるため」に必須の栄養素である。

脳は全ての臓器の中で、最も多くのエネルギーを使う。

およそ、人間が1日に消費するカロリーの約20%といわれている。

成人の脳の重量は1.2~1.5㎏で、

体重の2%ほどに過ぎないことを考えると、大変な消費量である。

 

仕事をしている時、人とコミュニケーションをとっている時、

ストレスを感じてダメージを受けている時、

特に何も考えていない時も、

脳は稼働し、大量のエネルギーを消費している。

「エネルギー=ブドウ糖」が不足すると、脳のパフォーマンスが低下する。

頭がボーッとして思考能力が低下したり、

集中力が欠け、やる気が出ない、イライラするなどといった症状が起こり、

仕事や勉強をしようとしても捗らなくなる。

また、脳の機能が低下すると体の各器官へスムーズに指令を出すことができなくなり、

様々な障害が現われるようになる。

疲れたときに甘い物が欲しくなるのは、脳がブドウ糖を欲しがっている証拠なのだ。

ストレスのかかる仕事、頭脳労働の割合が高い仕事をする時は、

必要に応じて、ブドウ糖の飴やチョコレートを食べるなどの対策を打つことも重要である。

 

「ストレス耐性」と「ストレス回復力」

人にはそれぞれ、

「ストレス耐性」「ストレス回復力」の能力値・レベルがある。

解説していこう。

 

ストレス耐性

ストレス耐性とは「ストレスに耐えられる強さ・許容量」のこと。

シンプルにいうと「防御力」である。

仕事をしていると、様々な形でストレスが降りかかってくる。

そのようなストレスに対してどのくらい適応し、対処できるか、

どの程度耐えられるかといったレベルのことを指し、

「ストレス耐性が高い・低い」といったように表現する。

もちろん、これも本人の「性格・価値観」が大きく影響する。

「ストレス耐性が高い」とストレス反応が出にくくなり、

「ストレス耐性の低い」と小さなストレスにも耐えることができず、

心身に影響が出やすくなる。

 

私達が仕事に取り組む上で

最も気を付けなければならないことは、

「自分の耐性以上の過大なストレスに、継続的に晒され続けること」である。

人は、逃げ場のない過大なストレスに晒され続けると、

やがて心身ともに変調をきたすようになり、最後には壊れる。

 

ストレスを溜め過ぎると表れる危険な兆候

・思考力が下がる

・心の余裕がなくなる

・気遣いができなくなる

・パフォーマンスが下がる

・判断力が落ちる

・冷静さがなくなる

・自信がなくなる

・ネガティブになる

・人に優しくできなくなる

・無気力になる

・人に対して攻撃的になる

・笑えなくなる

・無感情になる

 

ストレス回復力

ストレスを受けた状態とは、

「メンタルにダメージを受けた=脳が疲労した」状態。

身体の体力と同じように、メンタルの体力も有限である。

骨折したら完治に時間がかかるように、

過大なストレスを受けてしまうと、メンタルの回復にも時間がかかる。

体力は休養すれば回復するが、回復のスピードには個人差がある。

メンタルも同様である。

しかし、メンタルの回復には身体と違って「特有のコツ」がある。

例えば「オンとオフの切り替え」が苦手な人は、

休日なのに仕事のことばかり考えてしまい、あまり回復しない。

嫌なことを思い出し続けて引きずる「反芻思考」の人は回復が遅いし、

逆に、嫌なことを1日経ったら忘れるような「カラッとした性格の人」は、

回復力も高い。

ちなみに、

「職場で受ける膨大なストレスに回復のスピードが追いつかない」場合は

特に注意が必要である。早急に何らかの手を打とう。

 

現状の自分自身の、

「ストレス耐性」

「ストレス回復力」

ストレスをマネジメントするうえで、

まずこの2つを把握する必要がある。

次に、

ストレスを生み出す原因・仕組みをお伝えしていこう。

 

ストレスを大量に生み出す3つの価値観・思考パターン

ストレスを大量に生み出す価値観・思考パターンは、

大きく分けて3つある。

「劣等感」

「エゴ」

「執着心」である。

この3つは互いに影響し合い、連動している。

ちなみに、本来「エゴ」「執着心」に良し悪しはない。

人間なら誰でも持っているものである。

ただ、それらの傾向が強くなり、

「肥大したエゴ」「強過ぎる執着心」になると、

思考のバランスが崩れ、あらゆることが上手くいかなくなる。

 

「劣等感」はないに越したことはないが、

少しくらいの劣等感は、人間誰しもが持っている。

しかし「強い劣等感」を抱えてしまうと、

人生は苦痛や絶望に染まってしまう。

 

例えば「執着心」は、単体であれば

前向きにバランス良く使うことで「自己実現のエネルギー」になり得るが、

そこに「強い劣等感」が加わってしまうとどうだろう?

「やりたいのに一歩を踏み出せない」とか

「やりたいから始めたはずなのにストレスやプレッシャーしか感じない」

といった二律背反、自己矛盾に苦しむようになる。

そんな人はたくさんいる。

 

執着心に「肥大したエゴ」が加わると、

「欲求を満たすために人から奪う・攻撃する」「目標達成のために利己的な手段をとる」

といった傾向に行きやすい。

 

「バランス」という言葉が何度も出てきたが、

結局、人生をストレスフルに生きている人は

「考え方・価値観のバランスが悪い(偏っている)」のだ。

まず「自分の考え方・価値観のバランスの悪さ」に気付くこと。

そして、常にこれらの悪習慣を意識しながら「やめていく」ことが重要である。

 

1劣等感

自分に対して「ネガティブなイメージ」を持っている状態。

・自己評価が低い

・自信がない

・自分が嫌い

・自分に対する無価値感

・自分に対する罪悪感

これは、

自分が自分に対して「敵」になっている状態である。

あなたも知っているかも知れないが、この状態に陥ってしまうと

「生きること」自体が相当ストレスフルになる。

本来なら、自分は自分の最大の「味方」であり

常に応援してあげる「サポーター」なのだが、それが逆になってしまう。

常に自分が自分を敵視し、監視し、罵倒するのだ。

行動・選択の全てが「おそれベース」になるので、

常に不安やストレスに晒されることになる。

 

1−1「自分責め思考」

自己評価が低い人が、必ずやっていることがある。

「自分を責める」という思考パターンである。

・上手くいかなかったら、自分を責める

・自分のダメな部分を見て、自分を責める

・他人と自分を比較して、自分を責める(落ち込む)

・人から否定的な言葉を言われたら、全てを真に受けて自分を責める

 ・過去の嫌な記憶を思い出して、自分を責める

 

特に「過去」を後悔しながら生き続けると、継続的な苦痛に晒される。

トラウマから抜け出せない人は「劣等感」による自分責めと、

過去の「思い通りにいかなかった出来事」に対する執着心を抱えている。

自分を責めれば責めるほど、

心は傷付き「自己評価」が下がり、更に自分を責めるという悪循環に陥る。

 

1−2「依存的思考」

劣等感を持っている人は、

自分で自分を認めることができないので、心に空虚な「欠落感」を抱えている。

「ありのままの私では価値がない」

「ありのままの私では愛されない」という欠落感である。

その欠落感を「外側の何か」で埋めようとする。

つまり、何かに依存しようとする。

 

・人からの評価

・人からの愛情

・人からの承認

・社会的成功

・稼いだお金の額

・社会的地位/権力

 

これ等の「相対的なもの」は、

当たり前だが得たり失ったり、成功したり失敗したりする。

相対的なものに過度に依存してしまうと、

ずっとそこに振り回されたり、一喜一憂することになる。

一時的な承認を得て心を満たしたとしても、それはやがて消えていく。終わりがない。

中には「承認欲求モンスター」のようになってしまう人もいる。

必然的に、

「心の平穏」といったものから遠ざかってしまう。

適度な依存は「人生の充実感・張り合い」になるのだが、

土台に「自分が自分を認めている」「精神的な自立」が大前提として必要である。

 

精神的な自立をしていない人は、

常に「人に幸せにしてもらう」「人に背負ってもらう」

「人に頼る」などの依存的な考えになりがちである。

ちなみに、

「依存」と言うと弱々しい人のイメージになりがちだが、

高い能力を持った人や、強気に見せているような人でも(成功している経営者など)

「外側の承認」に依存していることは多い。

その人の「能力が高い/低い」「表面的な態度」は、あまり関係がないのだ。

 

1−3「悲観的思考」

劣等感を抱えていると、

必然的に、自分自身と自分の人生に対して「悲観的」になる。

自分のことを信じていないのだから、

「上手くいくイメージ」が持てるはずもない。

 

人に対しても「こんな自分が〜してもらうのは申し訳ない」

「どうせ嫌われるから、自分から壁をつくろう」

「嫌われないように」などといった、

「おそれベース」のコミュニケーションになりやすい。

 

人に対して自分の気持ちを伝えること、自己主張ができなくなり、

ただ受け身で他人の都合に流されたり、

仕事を押付けられたり、馬鹿にされるなど、

ひたすら我慢し続ける関係性に陥りやすい。

「自分の本音にフタをする」「自分を押し殺す」

「自分に嘘をつく」という生き方である。

 

自分の「未来」にも悲観的になるから、

やりたいことに対しても「こんな自分が挑戦しても失敗するだろう」になり、

チャレンジそのものを回避しようとしたり、

一歩を踏み出しても強烈なプレッシャーや不安に襲われ、足が止まりやすい。

車で例えると「ブレーキとアクセルを両方踏み込んだ状態」である。

 

自分の「過去」に対しても悲観的になり、

「自分の人生は失敗だった」などと極端な決め付けをしたり、

過去の嫌な出来事、体験を何度も繰り返し思い出し、

頭の中で追体験し続ける(反芻思考)

 

悲観的思考の人は、人生のあらゆることが

「消極的」「悲しみ」「失望」の方向に向かっていく。

 

「健全な劣等感」の活用法

では、劣等感はなくさなければいけないのだろうか?

結論からいうと、

完全に消すことはできない。人間だから。

私達は、神にもロボットにもなれない。

しかし、落ち込む必要はない。

劣等感も使い方次第で「アクセル(推進力)」になる。

「他者との比較」によって生まれる劣等感はあなたに苦痛をもたらすが、

未来にイメージする「理想の自分」との比較は、

「健全な不満」というモチベーションを生む。

現状の自分や状況に対して、

「こんなのは自分に相応しくない!」という不満が生まれるのだ。

例えば、もし今あなたが突然ホームレスになったら、

「こんな状況は自分に相応しくない!急いで元の状況に戻らなきゃ!」という発想になるだろう。

未来の「理想の自分」に劣等感(=健全な不満)を感じてみよう。

 

エゴ(自我)

前述した通り、

「エゴ(自我)」は全ての人間が持っているものである。

ただ、あまりにエゴが肥大してしまうと、

どんどん「利己的」「あつかましい」

「図々しい」「高いプライド」「傲慢」といった方向に向かう。

そうなると、他人を自分の都合のいいように変えようとしたり、

否定や攻撃によって意のままに従わせようとする。

「自分が得をするなら、相手が損をしてもいい」といった考え方、

酷い場合だと、「人を騙す」「暴力を振るう」

「嘘をつく」「利用しようとする」などの行動をとる。

そして、自分の思い通りにならないと不満や苦痛を抱える。

 

肥大したエゴは、

最も「他人に対する攻撃性」に繋がりやすい要因である。

 

2−1「ジャッジ(裁く)」

ジャッジとは、相手を裁くこと。

「私は正しい。あなたは間違っている」

「私は正義だ。あなたは悪だ」という思考パターンである。

自分の中の「正しい(と思っている価値観)」から外れた相手の言動、行動にイラッとする時。

心の中で、相手を裁いて責めているのだ。

心の中でジャッジするだけで終わらず、実際の行動として

相手を口撃してねじ伏せようとしたり、

自分の意見を押し付けようとしたり、マウントを取ろうとすることが多い。

 

世の中を見渡してみよう。

人間関係のトラブルのほとんどが「ジャッジ」によって生まれている。

人間は「私は正しい」という前提で考え、行動する。

全ての争いは「正義VS悪」ではなく

「正義VS正義」なのだ。

 

常に気を付ける必要がある。

「自分の正義」を盾に、

他人を攻撃する人間になっていないだろうか?と。

 

ちなみに、ジャッジする相手が「自分自身」の場合もある。

「こんな失敗をした自分はダメだ」

「こんなこともできない自分が情けない」という風に。

 

人が幸せになるには、

「ジャッジ」という価値観から卒業する必要がある。

 

まず大切なのは、

「違い」=「間違い」ではないと意識すること。

自分とは違う「考え」や「意見」を理解すること。

賛同できないことに「同意」や「共感」をしなくていい。

必要なのは、相手に対する「理解」である。

私達は「多様性の世界」を生きている。

「(あなたの意見は)わかりました」でOKなのだ。

 

2−2「他責思考(被害者意識)」

自分の人生で生まれた不満や苦痛を、

自分以外の人や環境の責任にすることを「他責思考」と言う。

 

肥大したエゴを持った人は、必然的に人のトラブルが多くなり、

「戦いの人生」になりがちである。

思い通りにいかない、痛い目に遭い続ける内に、

「アイツのせいで…」「上司のせいで…」「会社のせいで…」

「親のせいで…」「あの出来事のせいで…」

といった他責思考に支配されることがある。

「憎しみ」「恨み」を抱え、苦しむようになる。

 

特に「劣等感」と「肥大したエゴ」が合わさると、

他責思考の延長線上にある「被害者意識」に支配される傾向がある。

「メンヘラ」と呼ばれる人もそうである。

 

被害者意識が強い人は、常に勝手に傷付いている。

「攻撃された」「悪意をぶつけられた」

「あの人は私の悪口を言っている」

「あの人は私の敵だ」など、

まだ事実かどうか確定していない、

受けてもいない攻撃に対して反撃をしたり文句を言う。

根底になるのは「対人恐怖」である。

当然ながら、被害者意識の強い人は敵を作りやすく、嫌われやすい。

 

もちろん、個別の出来事で相手に責任があることも多々あるのだが、

思考の土台が「他責思考」になってしまうと、人生が苦痛に満ち溢れたものになる。

もし、あなたが「ストレスから開放されたい」と強く願っているなら、

「他責思考」をやめるしかない。

自分の人生を「人」や「環境」のせいにしている限り、幸せにはならないのだ。

後述するが、自分の「人生の責任」を自分で引き受けることが大切である。

 

ちなみに、

「私は繊細な性格だから傷付きやすい」と自認している人が、

単に「被害者意識が強い人」だったりすることもある。

ネガティブに敏感なのは、常にそこしか見ていないからなのだ。

そういった人は、自分から他人に対して口撃をするのに、

反撃された途端「被害者」として振る舞おうとする。

 

「健全なエゴ」の活用法

劣等感と同様に「エゴ(自我)」も消すことはできない。

しかし「エゴ(自我)」にも健全な活用法がある。

エゴとは「利己的な自我」のことだが、

「自分のために利他的に生きる」を選択することでアクセル(推進力)となる。

多くの人が、

「利己的でいることで幸せになれる」という勘違いをしている。

しかし、自分の都合や利益だけを考えて生きて、幸せになれるだろうか?

そう、不可能なのだ。

利他的であることが、最も自分の幸せに繋がる生き方である。

つまり、

「利他主義」とは「合理的利己主義」である。

利他とは、 他者の利益のために自分を犠牲にすることではなく、

他者を助けることが、ひいては自分を助けることであり、

全体の利益や調和につながるということを理解し、行動する考え方である。

最も合理的で自己中心的な行動なのだ。

 

執着心

これも前述した通り、

そもそも全ての人間が「執着心」を持っている。

執着心の全てが悪いわけではない。

しかし、あまりに強い執着心は

「〜しなければいけない」

「〜じゃなければダメだ」など、

自分の心を縛る「制限」「プレッシャー」になる。

それに加えて、

「肥大したエゴ」と合わさった「執着心」は不純・不浄な方向に向かい、

「強い欲望」「強い煩悩」になり、苦しみを生む。

「自分のものにしたい」「奪いたい」「独占したい」「支配したい」

「見返したい」「蹴落としたい」といった方向に行ってしまう。

 

「劣等感」と「強い執着心」を持った人は、

「完璧主義」に陥りがちである。

誤解している人が多いが、完璧主義は「認知の歪み」であり、

程度にもよるが、最終的には自己破壊に向かう思考パターンである。

なぜか?

そもそも「完璧」というものが存在しないからである。

最初から「無いもの(幻)」を追い求めているのだ。

 

もちろん仕事等において、

プロとして「高い基準値を持つ」「ベストを尽くす」ことは重要である。

だが、それ等と完璧主義は似て非なるものである。

完璧主義とは、その人の「内面的な未熟さ」の表れなのだ。

そして極端な完璧主義になると、以下のような思考パターンに陥る。

 

3−1「減点思考」

「最初に100点からスタート」して、

自分の思い通りにいかない時に、その都度減点していく考え方。

「小さなミス」−10点

「上司から注意された」−20点

「仕事が遅い」−5点という風に。

 

これの恐ろしいところは、100点満点を「及第点」に錯覚してしまうことである。

常に自分がやることに対して「ひたすら減点しかされない」という不安に支配される。

どんな成果をあげても、プラスにはならない。

「やって当たり前」で終わってしまう。

 

3−2「0か100か思考」

これも、アンバランスな認知の歪みである。

「2極」でしか物事を考えない。

「100点/0点」「正解/不正解」「敵/味方」

「白/黒」「勝ち組/負け組」「善人/悪人」など。

この世界はクイズではない。

社会はそのような「わかりやすいテンプレ」で動いていない。

むしろ白と黒の間の「グレーの部分」が重要だったりする。

0か100か思考で生きると、

視野が狭い偏った考えしかできなくなり、精神的に疲弊しやすくなる。

 

3−3「自分に厳し過ぎる」

これも「程度」「バランス」の話だが、

あまりに自分に厳し過ぎたり抑圧的な人は、

「執着心」に加えて「劣等感」を抱えている。

 

常に真面目で品行方正であろうとし、責任感を持って努力する。

他人に対して、必要以上に気を遣う。

「ちゃんとしなきゃ」「しっかりしなきゃ」

「一人で背負い込む生き方」になりがちである。

 

他にも、

「ストイック」「ワーカホリック」なパターンがある。

これも、ある程度までは問題ない。

充実しながら仕事をできているならOK。

しかし、あまりにストイック、ワーカホリックだとマズい。

そういった人も、

「執着心」に加えて「劣等感」を抱えている。

自分の劣等感による「欠落感」を埋めるために、

成果を出そうとする。評価を手に入れようとする。

「自分に厳し過ぎる=ありのままの自分では価値がないから」

「自分に厳し過ぎる=ありにままの自分では愛されないから」である。

 

当然だが、

「自分に厳し過ぎる生き方」それ自体がストレスである。

ちなみに、

自分に厳しい人は他人にも厳しくなりがちで、

人間関係で問題やトラブルが起こりやすい。

 

「健全な執着心」の活用法

執着心も、使い方次第で強力なアクセル(推進力)となる。

前向きで純粋な執着心は、自己実現のエネルギーになり得る。

例えば、

「海賊王に俺はなる!」は前向きで純粋である。笑

心から望む「〜したい!」「〜になりたい!」を純粋に追い求めること。

小学生時代のイチローが「メジャーリーガーになる!」と宣言したように。

ここでもコツは「他者との比較」ではなく、

「過去の自分」と比べることである。

昨日までの自分と比べて、前に進めたか?成長できたか?

健全な執着心は、人生に「達成」と「充実感」をもたらすだろう。

 

ストレスの「根本原因」を解消するために

溜まったストレスを発散するのも大切だが、

よくあるストレス発散法は、あくまで対症療法である。

それよりも重要なのは、

「ストレスの根本的な原因を解消すること」である。

そのためには、前述した「ストレスを生み出す価値観・思考パターン」を

常に意識しながら「やめ続けること」

謙虚さをもって自分と向き合い、改めること

「心を入れ替えて頑張ること」が大切である。

 

次に、

ストレスを生まないために必要な「4つの意識」をお伝えしよう。

この4つの意識のレベルを向上させていくことが大切である。

 

ストレスを生まないために必要な4つの意識

①人格

「人格」とは、その人の性格よりも広義な意味での

「人間性」や「在り方」のことである。

 

「人格者」をイメージしてみよう。その人は、どのような

「人間性」「在り方」を備えているだろうか?

優しさ、前向き、謙虚、理想、寛容、思いやり、誠実、利他的、包容力など…

そして、特に注目したいのが

「考え方のバランス感覚の良さ」である。

高い人格を備えた人は、ネガティブな感情に振り回されず、

自分で自分を自制したり、律することができる。

物事をに対して、偏った見方や決め付けをせず、

柔軟に、公正に、しなやかに、フラットな観点で判断し、行動する。

 

「劣等感」「エゴ」「執着心」

これらに乗っ取られたり、ネガティブな感情に振り回されるのは

結局は、自分自身の人間的な「未熟さ」なのだ。

 

自分の内面的な課題と向き合い、自己成長を続けることによって、

素晴らしい「人間性」「在り方」

「考え方のバランス感覚の良さ」を身に付けることが出来る。

そして、ストレスから自由になっていく。

 

「人間完成の道」というものがある。

赤ちゃんは完全なる存在だが、 ステージ的に言えば「種」である。

そこから、人生で起こる様々な「体験」を通して内面的な成長を続け、

やがて自分を開花させ、豊かな実を付ける(私的成功→貢献)

それが人間完成の道である。

幸運にも、私達は人間として生まれてきたのだから、 そこを目指すことをお勧めしたい。

「お金」「恋愛」「役職」「名声」「所有物」

それらを適度に求めるのも楽しいが、

そういったものから得られるのは、幸福ではなく「刺激」である。

真の幸福は「人間完成の道」にこそある。

自分の人格を磨き上げ、成長することは「純粋な喜び」である。

もちろん、一度完成して終わりというものではない。 次の完成を目指して進むことになる。

終わりはない。 あくまで、その時の完成形に過ぎない。 旅は続くのだ。

 

②自立心

自分の人生を、内面的な自立をして生きようとする心。

大前提として、

あなたの人生の「最重要人物」は、あなたである。

あなたの「人生の選択権」「人生の決定権」は、あなたが持っている。

あなた以外の、誰も持っていない。

他人も、会社も持っていない。

まず、この事実を認めよう。

 

そして必然的に、

自分の「人生の選択権」「人生の決定権」を持っているということは、

あなたは「自由」なのだ。

大切なことをお伝えしよう。

あなたは、

今までの人生の全てを「自分の意志」で選択してきている。

「他人に決められたこと」はない。

「会社に決められたこと」もない。

いつだって、最後の最後で決めたのは「自分」である。

この事実を認めるしかない。

これを「自分以外の何かの責任」にした瞬間、あなたは自由を失う。

自分で何も解決できなくなる。

「相手が変わらない限り不幸」「会社が変わらない限り不幸」

という構図ができあがってしまう。

 

あなたの「人生の選択権」「人生の決定権」は、

あなただけが持っていると、常に自覚しよう。

 

もし今、自分の周りが「嫌いな人だらけ」「敵だらけ」だったとしたら、

「その状況に行き着くまでの選択」をしたのは、自分自身である。

自分が被害者と思っていたら、

実は自分こそが加害者(トラブルメイカー)だったりすることもある。

自分の選択次第で、目の前の相手は敵にも味方にもなる。

 

もし今、「嫌な職場」で我慢しながら嫌々仕事しているとしたら、

「その状況に行き着くまでの選択」をしたのは、自分自身である。

 

そう、いつだって

今、目の前にある現実は

「自分が選択してきたことの結果」なのだ。

 

全ては「自分の選択」から始まる。

自分の選択によって、向かう方向が変わる。

展開が変わり、結果が変わり、人生が変わる。

 

今、あなたの目の前にある現実、

あなたの人生で起こることの全ては「自分の選択の結果」なのだ。

 

あなたは、選択することができる。

「この事実を認め、受け入れて生きる」か、

「目を逸らして生きる」かを。

 

どちらを選択するのも、自由である。

ただ、選択した先に待っている未来には、

「天と地ほどの差」がある。

 

「人生は自己責任」という言葉がある。

それは事実なのだが、

この「責任」という言葉に拒否反応を示す人も多い。

「責任は擦り付け合う、押しつけ合うもの」

「責任なんて取りたくない、自由に生きたい」

現代社会において「責任」という言葉は、重苦しい、ネガティブな言葉と定義されている。

 

ただ、実際はそうではない。

「責任」とは、

「自由」を得るために絶対に必要なものである。

「責任」と「自由」はコインの表と裏であり、セットなのだ。

どちらか一方がなければ、両方とも存在しない。

あなたが「自分の人生」を自由に生きたいのなら、

まず、「自分の人生の責任を引き受ける」ことから始めるしかない。

責任は「背負うもの」ではなく、

自分の意志で「引き受けるもの」である。

(自分の人生に責任を持たない=他責思考、依存的思考である)

 

「全ては【自分の選択】から始まる。

私の人生で起こることの全ては【自分の選択の結果】である」と。

 

そして、具体的に

「自分の人生」の何に責任を持たなければいけないかというと、

たった1つ。

 

「自分の人生を幸せに生きる責任」である。

 

あなたには、自分自身を幸せにする責任がある。

「たった1度の人生」を、自分らしく幸せに生き切る責任がある。

そのための「選択」を取り続ける責任があるのだ。

 

自分の両足で立ち、自分の頭で考え、自分で答えを出す。

自分の人生と真正面から向き合い、主体的に取り組む。

言い換えるなら「セルフリーダーシップ」である。

 

そして、時には

「勇気をもって決断する」

「自分の考えをハッキリと伝える」

「自分を守るために戦う」

「キッパリとNOと言う」ことが必要な状況も出てくる。

 

まず、そこに覚悟を持とう。

そこから逃げて「自分の人生を生きる」ことは不可能である。

まず、最初に「自分の人生を、幸せに生きる!」と決めよう。

 

そこに覚悟を持った人間だけが、

本当の意味での「自立」をして、

「自分の人生を切り拓くこと」が出来るようになる。

 

③俯瞰の意識(メタ認知)

 

メタ認知とは「認知を認知する」こと。

人間が自分自身を認識する場合において、自分の思考や行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること。

それをおこなう能力をメタ認知能力という。

メタ(meta)とは、「高次な、何かを越えて、何かと付随して、何かのあとに」を意味する接頭語である。  

(Wikipediaより)

 

人間には、自分のことを客観的に観察し、コントロールする力がある。

例えて言うなら、頭の中にもう一人の自分(客観的意識)がいて、

自分のことを高い視点で観察し、制御する力が「メタ認知能力」である。  

「自分の心を知る力」

「自己モニタリング能力」ともいえる。

  • 自分は何を知っていて何を知らないかを知る(知識についてのメタ認知)
  • 自分は何ができて何ができないか。あるいはどこまでできるかを知る(能力についてのメタ認知)  
  • 自分の今現在の心の働きがどうなっているか(認知状態についてのメタ認知)

特に「認知状態についてのメタ認知能力」が重要である。

例えば、

「今、少しイライラしている」

「今、慌てて冷静さを失っている」「今、集中力が途切れてきている」

そういったことを冷静に、敏感に認識できる能力。

 

メタ認知能力が高い人は、自分自身を「俯瞰して見る」ことができる。

物事に対して、高い視点で全体を見渡すことができる。

これは大きな武器である。

・理性的に感情を制御できる

・自分の内面の状態を分析できる

・冷静沈着な意識を保つ

・自分のことを客観的に観察する

・相手への気遣い、配慮

・適切な状況判断

・出来事と感情を分離する

・自分の問題と相手の問題を分離する

そういったことができるので、

人とも適切な距離感を保ちつつ、スムーズにコミュニケートできる。

ビジネスはもちろん、特に人間関係、

恋愛や夫婦関係においても、大きく役立つものだといえる。

 

では、メタ認知能力が低いとどうなるのか?

「メタ認知能力が低い」ということは、

「自分で自分のことが見えていない」

「目先のことしか見えていない」

「自分が周りからどう見られているのか把握できていない」状態である。

そのため、周りからは「空気が読めない人」と判断されてしまうことが多い。

「自分の感情」に対して距離を保ったり、制御することができず、感情的になりやすいので、

後先考えずに「目先の誘惑」「目先のラク」に飛び付いてしまう。

 

私自身、成長の過程で一番身に付いたものは何かと聞かれたら、

「メタ認知能力」であると答えるだろう。

徹底して自分自身を「俯瞰で見る」訓練を積んできた。

悪い意味で「他人に感情を動かされる」ことがなくなり、

余程のことがない限り腹を立てることもなくなったし、

イライラすることもなくなった。

常に「自分の状態」を俯瞰で見ることができるようになった。

昔は慌てん坊な性格だったが、今は取り乱すことはほぼない。

 

では、この「メタ認知能力」を向上させるには、

どうすれば良いのか?

まず、日常生活の様々な場面で

自分を「内省」「内観」することをやってみよう。

 

自分の心を「内省する習慣」をつけることが第一である。

「自分の考え・推論は自分の感情に左右されていないか」

「自分の判断は、過去の体験や知識に振り回されていないか」

「他人の意見やプレッシャーに振り回されていないか」

「それは自分の知識・経験・能力で可能か、不可能か」

「自分の今の精神状態は、どんな状態か」

常に俯瞰して見る必要がある。

 

自分の「心」と「実際の行動」とを結びつけ、自身をモニタリングし、

制御することができるようになれば、

如何なる状況においても、周囲に左右されずに「冷静な判断」を下すことができる。

そして、常に自分の判断や行動が「適切だったか」を客観的に分析して、

評価し、改善していけるようになる、

 

「メタ認知能力」こそが、

自分自身を制御し、能力を最大限に発揮するために、

円満な人間関係を築くために必須な能力だといえる。

誰でも訓練次第で向上する能力なので、頑張って身に付けていきたいものだ。

 

④自尊心

自尊心とは、

「自分で自分のことを誇らしく思う心」を意味する。

英語では「self‐respect」「self‐esteem」 という。

・自分を尊敬し、尊重している

・自分と、自分の人生を愛している

・健全かつ高い自己評価を持っている

・自己肯定感と自己効力感を備えている

シンプルに言うと「自分が自分の味方になっている」状態である。

 

ちなみに、

「プライド」は自尊心に含まれない。

プライドは「肥大したエゴ」と「他者との比較」によって生み出された、

ネガティブで危うい感情である。

 

自尊心が高い人は、

自分の能力や現状をありのまま受け止めている。

そのため、不平不満を口にする機会が少ない。

他人に対して寛容な心を持ち、

他人の言葉を謙虚に受け取ることが出来る。

自分のことを認めている人は、人のことも認められるのだ。

結果、人間的な余裕にもつながっていく。

 

他方、自尊心が低い(=劣等感が強い)人は、

他人の言葉尻をとらえて怒ったり、不要な批判をしたりすることが多い。

そして、

「自尊心」や「自分を愛する」などということが理解できない。

 

もしあなたが、

「自尊心」や「自分を愛する」という言葉にピンとこないなら、

シンプルに、

自分に対して「良いイメージを持っていればOK」くらいで考えると良いかもしれない。

 

ちなみに、

「自信とか自己評価とかどうでもいい」と思っている人は、

わりと自己評価が高い傾向がある。

 


 

4つの意識は

自分の感情・情動に支配されないために必須の要素である。

これらの意識を持つことでしか、

得ることができない「視点」があるのだ。

・人格者の視点

・自立した人の視点

・俯瞰で全体を見渡す人の視点

・自分を尊重できる人の視点

 

結局、人生にストレスの多い人は

・大切なことを知らない(無知)

・目先の視点しか持っていない

だけなのだ。

 

 

最後に、仕事でストレスフリーになるために必要な、

いくつかの「具体的なアドバイス」をお伝えしよう。

「嫌な出来事」によるストレスに対する対処法

リフレーミング(解釈を変える)

リフレーミング(reframing)とは、

ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事を「違う枠組み」で見ることを指す。

この枠組みを、今までの「自分の考え方・価値観」として考えてみよう。

今までの自分の考えとは「違う視点」「違う解釈」で見てみること。

同じ出来事でも、人によって見方や感じ方は違う。

「気持ちを切り替える能力」が高い人は、

高いリフレーミングの技術を持っている人である。

 

人は何か出来事があると​ その出来事に意味を付ける(=解釈する)

その意味付けがネガティブであれば「ブレーキのストレス」になり

ポジティブであれば​「アクセルのストレス」になる。

 

ネガティブな感情に振り回されて物事を決め付けるのではなく、

明確な意図を持って、目の前の出来事をポジティブに捉え直してみよう。

「失敗」を

「人生の無駄」と捉えるか、

「成功につながる経験」と捉えるかで、

目の前に見えている世界は全く変わってしまう。

 

「人からの言葉や態度」によるストレスの対処

人が「他者を攻撃する原因」を理解する

嫌な気分を引きずっている人の大半が、具体的に何を引きずっているかというと、

他人から言われた「嫌な言葉」を引きずっているのである。

他人の「自分勝手」「不満」「傲慢な心」から発せられた、

「心無い悪口」「嫌味」「誹謗中傷」「理不尽な言いがかり」

それらを「真実」だと信じて受け取ってしまい「自分の価値」と結び付けてしまうから、

傷付いたり、嫌な気分を引きずってしまう。

「自分の存在価値を否定された」と感じたから、嫌な気分になってしまうのだ。

しかし、ここで断言させていただくが、

「他人の心無い言葉」と、あなたという存在の「価値」は、何の関係もない。

他人を執拗に口撃する人間の根底にあるのは「弱さ」である。

口では大きな事を言っていても、本当は自分で自分の事を評価していない。自信がない。

自分が抱えている「不満」や「問題」から目を逸らすために、他人を下げる事で「心の安定」を保とうとする。

それだけなのだ。

大体、嫌な言葉を投げ付けてくる人間は、あなたにとって「大切な、尊敬できる人」だろうか?

この質問をしたら、ほぼこういった答えが返ってくる。

「いいえ、全く尊敬できません!信頼もしていません!」

では、なぜそんな「くだらない人間」の言葉を受け取るのだろうか

相手にする必要など、ないのだ。

相手が同じ職場の人間であっても、問題ない。

仕事で関わる必要があっても「心の距離」は自分で設定できるし、

相手の言葉に反応しなければ、相手もつまらない。

くだらない相手に「自分の価値を決める権利」を明け渡す必要はない。

「自分の価値は自分で決める!」という気概を持とう。

 

嫌われることを恐れない

「人の目が気になる」というあなたへ。

・嫌われたらどうしよう…

・迷惑に思われたらどうしよう…

・変な目で見られたらどうしよう…

 

たとえば、

あなたが前向きに、誠実に生きていたとする。

あなたは、10人の人と出会った。

その内の、

2人はあなたを嫌うか、良く思わない。

6人は、知人レベルの関係になる。

残りの2人は、あなたに対して好感を持つだろう。

大昔からある「人間関係の法則」である。

 

つまり、

「誰からも嫌われない」は不可能であり、

「誰からも嫌われたくない」は、

ストレスを生み出す思考パターンである。

もちろん、自分から人と戦ったり嫌われにいく必要はないが、

あなたがあなたらしく前向きに生きていたら、

誰かから理解を得られなくとも、気にする必要は全くないのだ。

なぜか?

嫌う理由は「相手が決めること」だから。

「なんかムカつく」「幸せそうで妬ましい」といった、

不条理な理由で嫌ってくる人もいる。

あなたの課題ではなく、その人の「内面的な課題」なのだ。

 

相手を反面教師にする

私達が人生で出会う全ての人は、2つに分類することができる。

「教師」「半面教師」である。

つまり、全ての人はあなたに学びをもたらし、成長の役に立ってくれるのだ。

これは綺麗事でも何でもなく「事実」である。

そこが腑に落ちている人は、出会った全ての人に感謝できるようになる。

誤解しないでいただきたのだが、

別に、尊敬できないような人間を無理やり好きにならなくていい。

ただ「自分の成長の役に立ってくれている」という事実にだけ感謝をすればいい。

 

生きていると、理不尽な目に遭うことがある。

相手に仕返しや復讐をしたくなる時もあるだろうが、それは止めた方がいい。

「因果応報」という言葉があるが、

あなたがその相手に反撃をするまでもなく、

「人を攻撃する生き方」をしている人間は、

けっこうな頻度で痛い目に遭い続ける。

いつか必ず自滅する。

 

それよりも、きちんと「反面教師」として学ばせてもらおう。

反面教師と同じことしてたらダメですよ。

 

ストレスからの回復方法

基本的には

・好きなことをやる

・好きな人と話す

・睡眠などの休養をとる

ことで回復する。

ただ、たとえば

「温泉に浸かりながら嫌な出来事を思い出す(反芻思考)」みたいなことをしても

ストレスは回復しない。笑

「仕事の時間」と「仕事以外の時間」は、

明確に線引きすることが大切である。

 

今回は、あまり知られていない

「2つのストレス回復ワーク」をお伝えしよう。

 

「眼球を素早く動かす(衝動性眼球運動)」

実は「眼球を素早く動かすこと(衝動性眼球運動)」はストレス解消効果がある。

この運動をすることで「過剰な交感神経反応」を抑えられ、精神的な緊張が取れる効果がある。

運動やスポーツで眼球を動かすといい。

もしくは、

「眼球のストレッチ」
  ↓
「近くの景色」と「遠くの景色」を交互に見る
5秒おきに上、下、真ん中、右、左と視界を移動させる
このストレッチを3分ほどやってみよう。

 

「フォアヘッド・タッピング」

急なイライラや不安などのストレスを感じたときに、短時間でリセットできる方法がある。

心理学者スーザン・ロバーツが考案した「フォアヘッド・タッピング」である。

やり方は「5本指で1秒毎におでこを軽くタップする」だけ。

なんと、PTSDやうつ病に効くという研究もある。

1分ほどやってみるとわかるが、意識がスッキリする。

おでこに入るタッピングの感覚に「脳のワーキングメモリー」が集中するので、

他のモヤモヤや衝動に費やす容量がなくなるという仕組みだそうである。

 

職場でストレスフリーになるための行動

「自分の城をつくる」

当たり前だが、

会社は「仕事で結果を出す場所」である。

全てのビジネスパーソンは、

結果を出すために会社に出勤し、仕事をしているのだ。

プロとして、与えられた「業務」を完遂し、

自分の「職責」を全うするために。

そして、その対価として「給料」をいただく。

必然的に、

自分のスキル不足・実力不足から目を逸らしたまま、結果を出せない状態を放置したまま、

何かを良くしようとしても不可能である。

そして、周囲から「低評価のラベル」を付けられてしまうと、

とことんナメられたり、見下されたり、酷いを扱いを受けることもある。

そこから這い上がって行くしかない。

 

職場で充実しながら、ストレスフリーで仕事をするために最優先すべきことは、

誰であっても迂闊に攻め込めないような、

「城」

つまり「自分の確固たるポジション」をつくることである。

・仕事の実力を付ける

・誰にもケチの付けようがないレベルの結果を出す

・仕事を円滑に進めるために望ましい人間関係を構築する

・周囲の高い評価、信用を掴み取る。

 

そういった環境を構築していくと、

あなたに「裁量権」が与えられる時が来る。

仕事において、

ある程度自分が判断したり、コントロールできる環境が手に入る。

 

実は、人間は「どんな仕事をするか」よりも、

「自分の思い通りにできている(コントロールできている)」ことに充実感や面白みを感じる。

 

逆に言うと、

「やらされている感(=我慢)」を感じながら仕事をすると、強いストレスを感じる。

ただ、それは「他責思考」に逃げているだけである。

自分の人生は、全て自分が決められるのだから。

 

全ての人に礼儀礼節をもって接する

職場の上司、部下、同僚、顧客はもちろん、

友人、知人、コンビニの店員さん。

全ての人に「礼儀礼節」をもって、「リスペクト」の姿勢で接する。

これは、人間関係における最も効果的なリスクマネジメントである。

 

「無敵」という言葉がある。

勘違いしている人が多いが、

「無敵」とは「最強」という意味ではない。

「敵をつくらない=敵がいない」という状態である。

これは決して、 ただ相手に迎合する「事なかれ主義」のことではない。

主体的で、自分を律し、高い視点を持った人間が成し得る技術である。

礼儀正しさ、 誠実さに勝るスキルはないのだ。 

 

相手から一方的に敵意を向けられた時は

心当たりが全くないのに、

相手から一方的に敵意を向けられる場合がある。

そう言った時、相手が何を望んでいるかというと、

あなたが「落ち込む」「悔しがる」「悲しむ」

といった反応をするのを期待しているのだ。

そして、相手が期待している反応をあなたがすると、

相手は喜んだり満足するので、また同じ行動をやろうとする。

 

それを防ぐには、

常に「フラットな対応」をすること。

反撃するのは、相手がさらに過激な言動や行動に移る可能性があるし、

自分もストレスを抱えることになるのでお勧めしない。

あなたが「相手のレベル」にまで下がって相手をするメリットなどない。

丁寧な対応をして、適度にかわしていたら、

いつか相手は「面白くない」と諦める。

 

そして、そのような理不尽な相手からは、

できるだけ距離を置いたり離れることも大切である。

それでも、仕事などでどうしても離れられない事情があるなら、

相手を「動物」だと思えばいい。

「低次元な感情に振り回されることしかできない動物なのだ」と。

猿が大声で喚いても腹は立たない。

 

あとがき

「職場性ストレスの取扱説明書」

いかがだっただろうか?

「取扱説明書」というライトなネーミングをしておきながら、

「本質しか書いていない」ということにお気付きになったかもしれない。笑

 

無料の電子書籍だが、

お金に換えられない位の「価値ある情報」を書かせていただいた。

あなたが、今どのような状況にいるかはわからないが、

何度も本書を読み、実践し、

少しでも状況を良くしていただけると幸いである。

 

もし、あなたが「自分の内面的な課題を抜本的に解決したい」

「今、私は変わらなければいけない」という人生の転機にいたり、

「仕事の逆境」に苦しんでいる状況にいるのであれば、

「木下空 公式LINE個別相談」か、

「体験コーチングセッション」をご活用ください。

 

それでは、本書をお読みくださり、ありがとうございました。

 

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