【仕事論】「建前」と「実態」のギャップに対応する
サラリーマンとして仕事をしていると、
必ず直面してくる問題がある。
「建前」と「実態」のギャップについてである。
私がいた会社の例だと、
仕事の「作業マニュアル」で定められた方法を遵守するように言われているが、
実際の現場では簡略化、または省略されていた。
理由は、マニュアル通りにやると時間と手間がかかりすぎて、
現場が廻らなくなり、業務が破綻するから。
管理者もそれを充分わかっている。
しかし、建前上はマニュアル通りに作業するよう指導する。
自分の指導責任を問われたくないから。
そもそも、作業マニュアルを作ったのが現場経験に乏しい、
または、もう現場で作業することのない管理者である。
彼等は、現場の作業者のミスの監督責任を取らされることを嫌がり、
徹底的に自分達の立場を守ること、自己保身を優先し、
作業者の「作業のやりやすさ」「合理性」を後回しにして作った、
不合理性の塊のようなマニュアルを現場に押し付けた。
過去に労災、ミスが発生するたびに、随時それに対する「対策」を盛り込んだ。
(対策を打ちましたよ!という上に対するアピール)
そのプロセスを繰り返し続けた結果、
本来の「マニュアル」というものの有意義性は消失し、
ただの「建前という名の看板」というべきマニュアルが完成した。
(「雑巾の絞り方」に1ページ割いているような分厚いマニュアルである)
現場で作業者がミスをしても、
「マニュアル通りにやっていなかったから」で全責任を押し付けられる。
実際の現場は、ベテランの作業者が「建前と実態」を理解して、
「大きな歪み」を負担して回っているにもかかわらず、
ミスした人間は徹底的に叩く。
しかし、そもそもミスを誘発させるような状況を作り出しているのは会社なのに、
そこは見て見ぬ振り。
誰も責任を取ろうとせず「他人事」で来た結果が、こんな状況だった。
取り返しがつかないというか、一度抜本的に解体しないと、
もうどうしようもない状態。
こういった風に、
私がいた会社ほど極端でなくとも、
「建前」と「実態」の乖離は、
どこの会社でも起こりうることである。
あなたの会社が似たような状況であれば、
少しアドバイスしたい。
こういった状況は長年の「企業体質」が生み出した結果であり、
変わることは、ほぼない。
例えば、社長にカルロス・ゴーンや橋下徹といった
「抜本的な組織改革」に切り込める人材がいれば可能性はあるが、
ほぼ無理筋だといえるだろう。
まずは「建前」と「実態」は乖離するものであると認め、
受け入れることから始めよう。
人が多く集まり「組織」として活動すると、必ずどこかで「歪み」が生じる。
ちなみに組織とは、
ある目的を目指し、幾つかの物とか何人かの人とかで形作られる、秩序のある全体。そういう全体としてのまとまりを作ること。また、その組み立て方。
を意味する。
そして、ただの集団が「組織」として活動するためには、
3つの要素が必要とされる。
アメリカの経営学者であるチェスター・バーナードが定義した、
組織が成立するために必要な条件である。
「組織の3要素」
- 共通の目的(組織目的)
- お互いに協力する意思(貢献意欲)
- 円滑なコミュニケーション(情報共有)
「建前」と「実態」が乖離するような会社は、
必ずこの部分に問題を抱えている。
「上と下」の目的が違っていたり、
お互いに敵対意識を持っていたり、
コミュニケーションが不足していたり・・・・
あなたの立場・ポジションによってやれることは違ってくるが、
自分にできることからやっていけばいい。
おかしいことはおかしいと、声を上げていい。
ただ、色んな人間が関わっていて、
それぞれ立場があり、利害関係がある。
まずは、
「建前」を完全に把握する必要があるし、
「実態」を完全に把握する必要もある。
求められるのは、状況や変化に瞬時に対応する能力である。
「変わる見込みのない会社」を変えようとする前に、
あなたがオールラウンド・プレイヤーになればいい。
そうやって取り組み続けていると、
経験値が積み上がっていき、
仕事に対する能力、判断力が向上する。
結果、やれることも増えてくる。
徐々に「良い流れ」のサイクルができてくるだろう。
「理不尽」に真正面からぶつかることよりも、より良い状況を生み出す為にできることを模索していく。
こういった意識で、やっていきたいものだ。