英国ロック史上、最も官能的で背徳的なバンド「suede(スウェード)」
当時小学生だった私が音楽を聴き始めた頃、最初に夢中になった洋楽ロックバンド。
それがsuede(スウェード)である。
「Suede(1993年作品)」Deluxe Edition Box set, CD
当時、邦楽ロックバンドであるBUCK-TICKのファンだった私は、
良いバンドを探してテレビの音楽番組「sony music TV」を見ていた。
その時たまたま、sudeのファーストアルバムからのシングル曲「so young」が流れてきた。
そんな「些細な出来事」が、その後の私の人生や価値観に、どれだけ大きな影響を与えただろう?
とにかくブッ飛ばされた。
「大衆を墜落させたい」と言い放つブレット・アンダーソンのカリスマ性と、
美しく中性的で、聴く者を耽溺させるような歌声。
あらゆる「背徳的な愛」「犯罪」「ドラッグ」について歌った危険な歌詞。
バーナード・バトラーの妖しく官能的な、まるで歌っているかのようなギター。
全てが衝撃的で、完璧だった。
翌日、速攻でアルバムを買い、とにかく何回も聞き続けた。
1日に20回聞いても飽きなかった。
ブレット・アンダーソンは、少年だった私の憧れであり、ヒーローだった。
複雑な家庭環境で育ち、反抗期だった自分にとって、
「ここではないどこか」に連れて行ってくれたものが、スウェードの音楽だった。
酷い時は「どうして俺はイギリスで生まれなかったんだ・・・」
と、自分の生い立ちを呪っていた 笑
ちなみに、来日ライブも見ている。
セカンドアルバム「dog man star」発表直後、
1995年3月10日の大阪厚生年金会館で見たライブは衝撃だった。
ライブのチケット優先予約の電話をかける為に、
中学校の授業をトイレに行くと言って抜け出し、
公衆電話から電話して、なんとか無事に押さえることができた。
行ってみると、なんと最前列の真ん中だった。
素晴らしいライブだったが、少し前にバーナードがバンドを脱退してしまい、
後任ギタリストのリチャード・オークスが演奏していた。
リチャードも才能溢れるギタリストであり、
商業的には、むしろバーナード脱退後にピークを迎えるのだが・・・。
しかし個人的には、ブレットとバーナードのコンビ(ソングライティングも二人の共作だった)が素晴らしすぎて、
折に触れては「あの時バーナードが脱退していなければ、どんな素晴らしい作品を生み出していただろう」
と想像したものだ。
ブレットの歌声には、バーナードのギターが寄り添っていてほしい。
活動休止を挟みながらも、今でも精力的に活動している、
息の長いバンドである。