「人生」という小説の主人公は、あなたである
想像してみよう。
あなたは、小説を書くことにした。
あなたは、机に向かって座っている。
静かな書斎で、落ち着いた時間が流れている。
「最高の物語」を書き上げようと、構想を練っている。
最高の物語を書くためには、
魅力的な「主人公」を決める必要がある。
あなたは、主人公のイメージを膨らませる。
徐々にイメージが固まっていき、
あなたが生み出した「主人公」に魂が宿る。
すると主人公が立ち上がり、歩き始める。
主人公を取り巻く「世界」が彩られ、創造されていく。
プロローグ。
何の変哲もない、穏やかな日々を送っていた主人公が、
ある日突然、大きな運命の渦に巻き込まれる。
それは「突然の悲劇」によって起こるかもしれないし、
「運命的な啓示」によって始まるものかもしれない。
いずれにせよ、
壮大な「物語」という名の旅が始まった。
主人公は、大きな使命を果たすために、
住み慣れた故郷に別れを告げ、
未知なる世界を体験することになる。
(しかし、本人はまだその使命に気付いていないかもしれない)
当然、平坦な話ばかりではつまらない。
主人公は、時として数多くの試練や挫折、運命に翻弄されていく。
「もうダメだ」と諦めそうな場面もある。
そして、その経験を通じて成長し、糧にしながら歩き続けていく。
多くの「出会い」と「別れ」を繰り返しながら、歩き続けていく。
「仲間」「同志」「先生」「師匠」「メンター」「恋人」といった、多くの味方と出会う。
当然ながら、多くの「敵」や「ライバル」も現れるだろう。
登場する全てのキャラクターとのエピソードが、
物語に華を添え、深みを与えていく。
やがて、物語は佳境を迎える。
激動のクライマックスを乗り越え、
主人公は、その壮大な使命を果たす。
長い物語は、ラストの大団円を迎える。
主人公が、愛する人に向かって微笑みを向けたところで、物語の幕は下りる。
小説を書き上げたあなたは、
達成感に浸りながら、原稿を最後のページから見直してみる。
物語の途中で起こった、多くの試練、挫折、アクシデント。
その場面だけ切り取って見ると、物語は「悲劇」であり「苦しみ」に見える。
「最初の1ページ」まで戻る。
主人公は、とても頼りない。
まだ誰とも出会っていないし、何も経験していない。
もちろん、成長もしていない。
再び、そこから「最後のページ」まで読み進めてみる。
そして、気付く。
物語の最初の主人公と、物語の最後の主人公。
そこに至るまでの「全ての物事」が必要であり、意味があり、
必然的に、ラストの大団円に繋がっていることに。
意味のないことは、1つもない。
大げさでも何でもなく、本当に1つもないのである。
「あなたの人生」にも、同じことが言える。
あなたの「人生という物語の主人公」は、あなたである。
あなたが生まれた時には、まだ何もない。
あなたは何も出来ないし、何の力もない。
しかし、やがて多くの経験を積みながら、
多くの出会いと別れ繰り返しながら、
ゆっくりと、しかし確実に成長を遂げていく。
大きな挫折を経験した時。
悲劇に見舞われ、人生に絶望した時。
大切な人に裏切られ、目の前が真っ暗になった時。
その時は、人生の全てが「闇」に見えてしまう。
しかし、それは「あなたの物語の一部」なのである。
後から振り返ってみたら、それは「適切なタイミング」で起こったことなのだと、
「意味のあるもの」だったのだと、気付くことができる。
だから、諦める必要はない。
あなたは、あなたの人生の「主人公」なのだから。
全てが、あなたの人生の「大団円」に行き着く為の、
必要なエピソードなのだから。
前を向いて、歩き続けたらいい。
明日は明日の風が吹く。