【救いのない世界で微睡む】日本が誇る孤高のロックバンド「Syrup16g」

今回は、日本が誇る「孤高のロックバンド」
Syrup16g(シロップ16グラム)をご紹介したい。
私の「絶望の20代」は、
Syrup16gが救ってくれたと言っていい。
当時、まだどこか鬱症状を引きずっていた私にとって、
ロックを聴くことが「暗い現実」を忘れさせてくれる唯一の手段だった。
ボーカル&ギターの五十嵐 隆が描く曲の世界には、
一切の「救い」がない。
彼自身が「元・引きこもり」であり、
メンタルを病みがちな、繊細な感性を持った人間だった。
「空をなくす」という曲があるが、
これは彼が当時飲んでいた「ソラナックス」という抗不安薬をもじったものだし、
「イエロウ」という曲は「家Low」つまり、
「鬱で家に引きこもっていた経験」を唄った曲である。
全てが「生身の表現」であり、嘘がないのだ。
そんな、どうしようもない「どん詰まりのような現実」を、
心に沁み入ってくるような「哀しみ」と共に、
儚く美しいメロディーに乗せて紡いでいく。
しかし、そんな「救いのない唄」が、
現代に生きる多くの「心が傷付いた人」の救いになった。
私も、その中の一人である。
これほど熱狂的に愛されているバンドは、中々いないだろう。
個人的な話だが「忘れられないエピソード」がある。
当時、syrup16gのライブのチケットが取れなかった私は、
mixiの「syrup16gコミュニティ」で、
「どなたか、チケットを譲っていただけませんか?」と書き込んだ。
すると幸運にも「チケットが余っているので定価でお譲りしますよ」
と、とある女の子からメッセージが来て、ライブを見に行けることになった。
彼女とライブ当日に待ち合わせ、チケットを譲ってもらったのをキッカケに、
カフェで音楽の話をしたり、一緒にレコード屋巡りをするようになり、
いつしか、お付き合いすることになった。
彼女も私も人生に問題を抱えていて、
劣等感の塊で、お互い「似た者同士」だった。
彼女と一緒にいると、不思議と心が落ち着いた。
「人生って、こんなに楽しかったんだ」
心からそう思えた。
結婚を考えていたが、当時はお互い若く、
結局、3年付き合って別れてしまった。
彼女には、感謝しかない。
気が付けば、あれから10年以上の月日が経ってしまった。
解散していたsyrup16gは、また再び活動を始め、
新しい作品とともに帰って来てくれた。
また、ライブを見に行こうかと思う。
ちなみに、私が一番好きな曲は「I’m 劣性」である。
「I’m 劣性」
30代いくまで生きてんのか俺
体ダルくて逆に眠れないね
バイトの面接で「君は暗いのか?」って
精一杯明るくしてるつもりですがI’m 劣性
世界の心臓を
I’m 劣性
鼓膜の振動で
I’m 劣性
感じるだろう
I’m 劣性
テレビなんて Pass!
あれほど自殺願望に苦しんだ私が、
30代になっても、生きている。
人生はわからない。
「My song」
「I’m 劣性」