中間管理職の「ストレスで限界…」潰れる原因と6つの解決策
「あぁ、もう会社に行きたくない…」
朝、目が覚めた瞬間から気が重い。
通勤電車で、ふとした拍子に動悸がする。
出勤早々、デスクにあるのは
アルプス山脈のような書類の山。
部下からは不満と相談が持ち込まれ、
上司からは「まだか」と詰めが飛んでくる。
さばいても、さばいても、
次から次へと湧いてくるトラブル。
当たり前のように、毎日残業。
それでも自分の業務は終わらない。
帰りの電車。
窓の外をぼんやり眺めながら思う。
「なんで、こんなに必死に
やっているのに報われないんだろう」
残るのは、孤独感と空っぽの虚しさだけ。
目次
「もう、辞めようかな。疲れた…」
疲労感で、考えがまとまらない。
仕事も楽しくなくなった。
どこかの温泉旅館にでも
退避して、何もかも忘れて休みたい。
もし、あなたが
今そんな状態にいるなら。
管理職時代に潰れて、
40日間休職した経験を持つ
私から、お伝えできることがあります。
まず、私は「頑張れ」とも
「逃げていい」とも言いません。
ここで重要なのは、
今の状況が起こっている
「本当の原因」を解決しない限り、
逃げても頑張っても、
「同じことが繰り返される」
ということです。
転職しても、部署が変わっても、
同じパターンで潰れていく人を
何人も見てきました。
今回は、
中間管理職が追い詰められていく
「本当の原因」と、
そこから抜け出すための
「6つの根本的な解決策」を、
綺麗事抜きでお伝えします。
中間管理職がストレスで潰れる「根本的な原因」
いきなり、世間一般の
認識とは違うことを言います。
中間管理職が疲弊する原因として
よく挙げられるのは、
- 業務量が多過ぎる
- 上と下の板挟みがしんどい
- プレイングマネージャーの負荷が重い
といったもの。
もちろん、それも事実です。
中間管理職は心身共に負荷が大きい。
ただ、私はこう考えています。
管理職を本当に追い詰めるのは
仕事の量ではなく、
その人が握りしめている
「正しさ」である、と。
たとえば、
こんな「正しさ」を持っている人。
「部下のミスは、自分の指導不足だ」
「上司の期待には、きっちり応えなければ」
「仕事はこうあるべき。一切手は抜けない」
立派な考え方です。
誰にも否定できない
「正論」だといえます。
ただ、実はその
「正しさ」こそが
誰よりも自分を追い込み、
今の状況だったり、
同じような問題が起こり続ける
「根本的な原因」だとしたら。
自分自身の責任の範囲を
「正しさ」で際限なく広げ続け、
キャパをとっくに超えているのに
「まだ足りない」
「もっとやらなければ」と
自分を追い込んでいく。
同時に、その「正しさ」は
部下にも上司にも向けられる。
「この程度のこともできないのか」
「なんで常識すら守れないんだ」
「それはあんたの仕事だろう」
そして、中間管理職にありがちな
「板挟みの状況」に苦しむことも、
根っこの原因は同じです。
「上司の指示には従うべき」と
「部下の声に応えるべき」
どちらも正論です。
ただ、矛盾する場合が多い。
その矛盾を「自分一人の中」で
解決しようとするから、
ジレンマに苦しむことになる。
関連記事:中間管理職が「上司と部下の板挟み」に陥る原因と5つの対処法
そうやって頑張り続けた結果、
心身ともに疲弊していき、
最後には潰れてしまう。
これは能力の問題ではなく、
むしろ、能力が高く真面目で、
責任感が強い人ほど
陥るパターンだといえます。
適当にサボる人は潰れない。
要領よく立ち回る人も潰れない。
先に潰れるのは、いつも
「ちゃんとやろうとする人」なんです。
私が管理職時代に潰れた経験
偉そうなことを言っていますが、
これは全て、私自身の経験談なんです。
33歳で中間管理職に昇進した時、
私は大きな覚悟を持っていました。
私がいた会社は
元国営企業だったこともあり、
企業風土、体質が腐りきっていた。
「世の中には、ここまで自分のことしか
考えられない人間がいるのか」と、
逆の意味で驚くことも多かった。
プロパーの先輩方からも
「もうお前らの世代で、
この腐った会社を立て直してくれ」
と言われ続けてきた。
だから、覚悟を決めた。
悪貨が良貨を駆逐するような
会社ではなく、
真面目に頑張っている人が
報われる組織に変えたい。
この腐った会社を、
自分の手で改革してやる、と。
理想と志はあった。
ただ、今振り返ると
かなり未熟で稚拙なやり方でした。
既得権益にしがみつく人間や、
いわゆる「老害」と呼ばれる層と
真っ向から戦ったんです。
正面から、勝つか負けるかの勝負。
相手が上だろうが関係なかった。
最初は、一部の賛同者もいました。
「木下さんの言う通りだ」と。
ただ、徐々に風向きが変わっていった。
穏健派の人達以外は、
ほぼ全員が私に対して
敵視するか、悪印象を持つようになった。
そうなると、ただ職場にいるだけで辛い。
どこに行っても冷たい視線を感じたり、
距離を置かれるようになる。
そこから、
少しづつ崩壊していきました。
精神的に追い詰められていく中で、
ミスを連発するようになった。
ミスが起こるたびに、
「それ見たことか」と大バッシング。
徐々に思考や判断力が鈍っていき、
仕事中にボーッとすることが増えた。
そして、ある日に
致命的なミスを引き起こした。
上層部を巻き込むレベルの重大事案。
(結果的に隠蔽されたんですが、
それくらい大きなことだった)
そのミスをした瞬間は、
自分でも頭がぼんやりして、
まともに働いていない状態だった。
気付いたら、
上司4人に囲まれていました。
物凄い空気でした。
「お前なんてことしてくれたんだ」
という目。
その時、
完全に心が折れた。
不思議なんですが、
「心が折れるって、こういう感じなのか」と
思ったのを覚えています。
そのまま40日間、
逃げるように休職しました。
今振り返ると、私がやっていたことは
「改革」なんて立派なものではなく、
「自分の正しさの押し付け」だった。
「正しいことをしている」と
信じているから、手加減もしない。
悪を潰そうとする。容赦なく戦い続ける。
ただ、身も蓋もない事実ですが、
全ての争いは
「正義と正義のぶつかり合い」なんです。
自分のことを「悪」だと思っている
人間なんて、この世に一人もいない。
私も「正義」
相手も「正義」
その正義と正義が
ぶつかり続けた結果、私が自滅した。
「正しさ」で
人は変わらないし、仕事も回らない。
これが、私が
自分の身をもって学んだ教訓です。
では、管理職が潰れない為には、
どうすればいいのか。
私が「どん底」を乗り越えた経験から、
6つの根本的な解決策をお伝えします。
疲れた中間管理職の為の6つの解決策
①「原則」と「手段」を明確に分ける
あなたの「正しさ」は、
長年の経験と努力から
培われてきた大切なもの。
そこには大きな価値がある。
問題は正しさではなく、
正しさの「使い方」なんです。
仕事における「正しさ」は2つあります。
一つは「原則」
安全、品質、法令、信頼など。
ここは絶対に譲ってはいけない部分。
もう一つは「手段」
段取り、順序、伝え方、関わり方。
多くの管理職は、ここを混同しがちです。
だから、手段を変えることすら
「信念を曲げること」だと錯覚してしまう。
仏教に「中道」という言葉があります。
どちらか一方に偏らず、
バランスを取って生きるという教え。
「弦は、締め過ぎても、
緩め過ぎても、いい音は出ない。
程よく締められてこそ、いい音が出る」
これは釈迦の言葉ですが、
マネジメントにも、そのまま当てはまる。
締め過ぎた正しさは、
相手にとって「否定」になる。
結果、上司からは嫌われ、
部下は何も言ってこなくなる。
つまり、
正しさを通そうとし過ぎるほど、
「正しさが通らない状況」を作ってしまう。
これこそが、最大の損失だといえます。
まず、原則と手段を
分けて動いてみてください。
迷うことがなくなっていきます。
②「何が正しいか」ではなく「何が目的か」を基準にする
弦を締め過ぎることなく仕事を回し、
結果を出す為にはどうすればいいのか。
それは、
「正しさの勝負」ではなく
「目的」を先に置くことです。
「私の言っていることが正しい」
という土俵には乗らない。
「私は、こういう成果を出したい」
「チームとして、ここを目指したい」
「このリスクだけは回避したい」
まず、そこから入る。
譲れない「原則」だけは示し、
「手段」は、相手と柔軟に考える。
極論、
手段はなんでもいいんです。
仕事の原則を守れるなら。
無駄なプライドは捨てていい。
本当に大切な「誇り」を守れるなら。
正しさという武器を下ろし、
「目的」を共有することで、
上司も部下も、敵ではなく
「同じゴールを目指す人」に変わります。
③「コントロール」をやめ、敢えて見守る
次に見直したいのが、
人との「関わり方」です。
たとえば、
部下の仕事を全てフォローし、
トラブルがあれば真っ先に駆けつけ、
上司への報告も完璧に仕上げる。
それは、プロとして素晴らしい。
ただ、その「ストイックさ」が
あなたの周りの人達を
「弱体化」させている可能性が
あるかもしれない。
「自分がやった方が早い」
「任せたらミスが出る」
ただ、それで
突き進んだ先にあるのは、
あなたが倒れた瞬間に
機能不全に陥るチーム。
それは果たして
「正しいマネジメント」だろうか。
私が「どん底」を乗り越え、
評価と信頼を取り戻すために
意識していたことがあります。
新人や後輩を育てる時、
自分の業務をこなしながらも、
常に「目は離さない」ようにしていた。
「このまま行ったら、
あいつはこういうミスをするな」
それが見えていても、
敢えて何も言わない。
黙って、見守る。
案の定、ミスが起こる。
そこで本人が
どう対処するかを、じっと観察する。
自分でごまかそうとするのか。
立て直そうとするのか。
報告してくるのか。
上から「こうしろ」「ああしろ」と
言ったところで、人は変わらない。
特に、痛い目に遭わないと
懲りない人間は絶対に変わらない。
自分でミスをして、自分が損をして、
「だから仕事は一定の基準で
やる必要があるんだな」と身体でわかる。
その体験こそが、一番の教育なわけです。
もちろん、
致命傷になりそうな時は
私がサッと出て止めていましたが。笑
ここで重要なのは、
「放置する」と「見守る」は
全く違うということ。
「放置」とは、関心を持たないこと。
「見守る」とは、
手は出さないが、目は離さないこと。
心はそこに置いておくということ。
以前の自分は
正しさに固執し過ぎて、
この「見守り」のスタンスで
部下を見ることができなかった。
その結果、
部下の「成長の機会」を
奪ってしまっていた。
後になって気付きました。
「俺が邪魔をしていたんだな」と。
「信じて待つ」というスタンスが、
あなた自身に余白を生み出し、
同時に、部下を成長させていきます。
④自分にも相手にも「100点」を求めない
優秀な人ほど、基準値が高い。
ただ、部下の仕事に
自分と同じ基準値を
求めないことが大切です。
「70点でいいから、
あなたの考えでやってみて」と伝える。
そして、自分自身の仕事にも
「70点でいい」と許可を出すこと。
「完璧主義」を手放すだけで、
時間的にも精神的にも
驚くほど余裕が生まれます。
ちなみに、
部下が出してくる70点の中に、
自分では思いつかなかった視点が
入っていることがあったりします。
(100点を求めていた頃は、そういう
「芽」を自分で摘んでいたわけです)
⑤相手を「裁くこと」をやめる
部下がミスをした時。
叱責して修正するのではなく、
「いい経験だね。で、次はどうする?」
と問いかけてみてほしいんです。
「失敗=悪」という空気を、
少しづつ消していくわけです。
失敗を裁く上司のもとでは、
部下は「ミスを隠す」ようになる。
失敗を学びにできる上司のもとでは、
部下は「ミスから成長する」ようになる。
どちらが強い組織になるかは、
言うまでもない。
ちなみに、管理職時代に
ミスした部下をガン詰めした結果、
部下が報告を上げてこなくなり、
取り返しのつかない事故に発展した
経験があります…
(痛すぎる実体験です)
ミスに限らず、相手を裁くことを
やめるとストレスが激減します。
「結局、正しさというものは
個人の価値観でしかなく、
人の数だけ正しさがあるんだな」と
わかった時、
何かあっても、
「まぁ、そういう人もいるよな」
と考えられるようになりました。
⑥「自分が我慢すれば丸く収まる」という幻想を捨てる
真面目な人にありがちですが、
「空いた時間」に仕事を詰め込まないこと。
早く帰る。休む。
とにかく自分のメンテナンスを優先すること。
「そんな暇があったら仕事しなきゃ」
と思うかもしれない。
ただ、考えてみてほしいんです。
上司がいつも疲弊して、
イライラして、余裕がない。
そんな人の下で部下が
「この人についていきたい」と思うだろうか。
管理職が楽しそうに働いていないと、
部下は管理職になりたいとは思わない。
つまり、あなたが
「疲れ切った管理職」でいること自体が、
チーム全体の士気を下げている可能性がある。
だから、自分を犠牲にして働くことは
もう、やめましょう。
「休むのは甘えだ」とか、
「いや、ダメなんだ」とか
そんな声が心の底から聞こえてきても、
フル無視してOKです。
「休むことも仕事」ですから。
管理職で潰れた私が「復活」できた理由
最後に、少しだけ
私の「その後」を話させてください。
40日間の休職から復帰した後、
私は全てを変えることにしました。
「正しさ」を振りかざすのをやめた。
人を変えようとすることを、やめた
自分の基準を押し付けるのを、やめた。
代わりに、
一人ひとりの「正しさ」を
観察するようになりました。
「この人は、何を大切にしているのか」
「この人に、何を求めているか」
そこに意識を向けるようにした。
そもそも、
「自分のやり方」で四面楚歌になった。
「自分の正しさ」で全員を敵に回した。
その結果が、
40日間の休職だったので。
どん底まで落ちて、やっと
「人ではなく、自分を変えよう」と
思えたんです。
そこから、
少しづつ状況が変わっていきました。
部下が相談に来るようになったり、
上司との関係が良くなったり。
自分を取り巻く空気が、明らかに変わった。
そして、1年かけて
全ての人達と関係性を作り直し、
思った通りの結果を出せるようになった。
「人間関係がしっかりしていたら、
仕事って、こんなにスムーズに進むんだ」
と、痛感しました。
自分の未熟さから招いた
全てに、ケジメをつけることができた。
そう思えた時、
「今の自分なら、新しい生き方が
できるかもしれない」と
会社を退職し、起業しました。
あの休職は「終わり」ではなかった。
今思えば、むしろ
「本当のスタート」だったんです。
だからこそ、
あなたにも伝えたい。
あなたの「正しさ」を
少し、緩めてみてください。
自分にも、周りにも。
「正しさの使い方」なんです。
正しさは、人を傷付けたり
攻撃するための武器ではなく、
自分と人を幸せにするために
使うものだと思っています。
あとは、身も蓋もないことを言うと
「私がいないと仕事が回らない」
っていうのは、
実は全くそんなことはないんです。
いや、もちろん
当時の私もそう思っていました。
いや、
そう思いたかったんだと思います。
当時の私にとって、
「仕事で結果を出すこと」が、
自分の存在価値の全てだったから。
仕事は仕事です。
人生の一部分に過ぎない。
あなたがいなくなったら、
会社は代わりを見つけます。
それは、あなたの能力の話ではなく
ただ、そういう仕組みだから。
ただ、あなたの「人生」の
代わりはどこにもいない。
あなたの家族にとっての、
「あなた」の代わりもいない。
まずは、仕事に限らず
「全部を一人で背負わなくていい」と
自分に許可を出してあげてください。
それは「甘え」ではない。
長い人生を走り続ける為の、
最も合理的な判断です。
応援しています。

