「バックトラッキング」で相手と信頼関係を築く
「相手とラポール(信頼関係)を築くためのスキル」シリーズ
過去記事はこちら 3つの非言語コミュニケーション V(visual)視覚 相手とラポール(信頼関係)を築くためのスキル「ミラーリング」とは? A(auditory)聴覚 相手とラポール(信頼関係)を築くためのスキル「ペーシング」とは? K(kinesthetic)身体感覚(触覚、味覚、嗅覚)相手とラポール(信頼関係)を築くためのスキル「頷き」「相槌」とは? |
前回までは「非言語」のコミュニケーションスキルをお伝えしたが、
今回は「言語」のコミュニケーションスキルである、
「バックトラッキング」についてお伝えしていこう。
相手の言葉を返す技術「バックトラッキング」
「バックトラッキング」とは、
相手の言葉を「オウム返し」すること。
基本的に「相手の言葉をそのまま繰り返す」ものなので、人と会話することに自信がなかったり、
途中で会話が途切れてしまうような人に、打ってつけのスキルである。
相手の言葉をそのまま繰り返すので、相手からすると
「そう、その通り!」「そうなんだよ!」といった良い反応を引き出すことができ、
「この人はわかってくれている」「自分のことを理解してくれている」
と感じて貰え、深い信頼関係を築くことができる。
「相手が言った言葉」なので、相手からすると「否定」のしようがない(笑)
相手に「話をしっかり聞いてもらえたなぁ」と感じてもらうことができる。
バックトラッキングは、使い方次第で素晴らしい効果を出せるスキルなのだ。
バックトラッキングには、大きく3つの種類がある。
3つのバックトラッキング
①相手の話した「事実」を返す
相手の話した事実の「主要なキーワード」を返す。
基本的には、この「キーワード」をオウム返ししていく。
ポイントは「キーワード」に「助詞」を付けること。
例文
相手「先週、沖縄に旅行に行って来たよ」
あなた「沖縄に!」
相手「海がすごく綺麗で良かったよ!」
あなた「海が〜♪」
相手「ソーキそばも食べたよ!美味しかったよ」
あなた「ソーキそばも!」
②相手の話した「感情」を返す
相手の「感情」をバックトラッキングする。
話しの中で相手が「悔しかったんですよ」とか
「嬉しかったんですよ」といった感情表現を口にした場合は、
「悔しかったんだね」「嬉しかったんだね」など、
相手の感情を強調するようにバックトラッキングすると、
相手とのラポールはより築きやすくなる。
感情に対するバックトラッキングは特に効果的で、
相手は無意識レベルで「この人はわかってくれてるなぁ・・・」
と、あなたへの信頼感を感じるようになる。
『ネガティブな「感情」をバックトラッキングすると、
相手がより辛くなったり、悲しくなったりするのではないか』
と思われる方もいるかもしれないが、
相手の感情に「共感」し「寄り添う」ことで、
相手も楽になることが多い。相手の状態を尊重しながら活用していこう。
例文
相手「またフラれたよ・・・。悲しすぎる・・・・」
あなた「悲しいね・・・」
相手「今日で7連勤ですよ。さすがにしんどい・・・」
あなた「しんどいね〜」
相手が「感情のキーワード」を話さなくても、
こちらが感情を汲んでバックトラッキングすることも可能である。
相手「やった!昇進試験に受かりました。」
あなた「それは嬉しいね」(相手の感情を汲んでいる)
その際、相手が感じている感情と違う言葉を言ってしまうと、
違和感を持たれてしまうので注意したい。
③相手の話を「要約」して返す
相手の話の内容が長い場合、内容の「キーワード」となる単語を織り交ぜながら
シンプルにまとめて「要約」して返す。
相手の話をじっくり聞いて、ひと段落ついたと思った時に、話の内容を要約して返そう。
「要約」できるということは「しっかり理解して話を聞いてくれている」という
肯定的なメッセージになり、無意識レベルでの安心感を生み出す。
こちらが客観的に相手の話を要約して返すことで、
相手にとっても新しい「気付き」をもたらすことができる。
例文
相手「また車が故障したよ・・・。今年に入って3回目だよ!
最初はタイヤがパンクして、2回目はエンジンがかからなくなって、
3回目はウインカーがつかなくなったよ。新車で買ったのに・・・」
あなた「故障しやすいんだね・・・」
相手「昨日、上司から仕事を丸投げされたよ・・・
しかも引き継ぎも詳しく教えてくれなくて、あとはよろしく!みたいな。
こっちはこっちで新しい案件を抱えているし、
休日の予定も来週まで詰まっちゃったし、
来週のライブも観に行きたいし、どうしたものか・・・」
あなた「急に忙しくなったんだね」
ちなみに、相手の話した内容を「要約」して繰り返すことは、
ビジネスの世界でもよく行われている。
「相手と交渉する時」や「相手の意見に反論をする時」
そうった状況において、こちらの印象を和らげる効果があるようだ。
バックトラッキングを活用していこう
バックトラッキングは、
基本的に「相手の話の中にある出来事【事実】」と、
その「出来事を通して感じた【感情】」を返していく。
さらに毎回繰り返すのではなく「相槌」を織り交ぜながら、時折繰り返していく。
過度にバックトラッキングしてしまうと、不自然な印象を持たれてしまうので注意したい。
使っていると分かってくるが「事実」と「感情」の中には、
相手にとって「大切なもの」が含まれている。
その「大切なもの」をこちらが返すから、相手の心に響くのだといえる。
「ミラーリング」や「ペーシング」「頷き」「相槌」と併用すると、
さらに大きな効果を得ることができるだろう。
素晴らしいスキルなので、ぜひ活用していただきたい。
明日は明日の風が吹く