「期待」を手放す
あなたの職場に、珍しく将来有望そうな新人が入社してきたとする。
今いる部下達の、
「仕事に対するモチベーションの低さ」
「仕事に対するモラルの低さ」などに失望していたあなたは、
その将来有望そうな部下(A君とする)に対して、
大きな期待をかける。
「俺がこいつを育てる!」
と息巻いて、あなたは何かとA君に目をかける。
あなたが今まで蓄積してきた、
「仕事の経験・ノウハウ」
「この会社でやって行く為に必要なこと」
などを、惜しみなくA君に提供する。
1年後、A君は社内の悪い体質にすっかり染まってしまい、
他の人間と何ら変わらない、ただのやる気のない部下になった。
あなたは腹を立てる。
「せっかく期待して、散々目をかけた結果がこれか」
あなたは、もう部下を育てることに対して関心を持たなくなった。
そういった経験、ないですか?
そんな時、腹を立てる前に、自分と向き合ってみよう。
あなたは「心からの期待・親切心でやった」と思うかもしれない。
しかし、
「見返りを求める期待」は、
ただの自分の利己的な「エゴ」でしかない。
「自分にとって都合の良いようになってもらいたい」
という「欲求」でしかない。
A君も未熟だったかもしれないが、
あなた自身も未熟だったのだ。
偉そうに聞こえたかもしれないが、
これは、私自身が過去に経験したことである。
私自身も、未熟だったのだ。
人生には、
人それぞれの「ステージ」と「タイミング」がある。
あなたは「部下を持つ立場」という「ステージ」にいて、
しかるべき「タイミング」で、そういった経験をした。
それは、あなたの「経験という財産」である。
「成長するための糧」なのだ。
A君も同じだと言えないだろうか?
彼には彼の「新入社員というステージ」があり、
しかるべき「タイミング」で、大事なことに気付くかもしれない。
もしくは、気付かないかもしれない。
あなたに出来ることは、ただ見守ることである。
アドバイスを求められたら、
助けを求められたら、
ただ手を差し伸べる。
彼がいつか「変わろう」と思えば、変わるだろう。
あなたがそうであったように。
すべてを受け入れて、進めばいい。
今日も頑張っていきましょう!
世の中で、最もよい組み合わせは
力と慈悲、
最も悪い組み合わせは、
弱さと争いである。
ウィンストン・チャーチル