「辛い記憶=トラウマ」を克服する為の5つのステップ(後編)
前回記事:「辛い記憶=トラウマ」を克服する為の5つのステップ(前編)
後編は、トラウマを克服するための「実践的な対処法」をお伝えしていこう。
20代の頃、深刻なトラウマとPTSDに苦しんでいた私は、
子供の頃の「生きる事そのものが喜び」だった感覚を取り戻すために、
自分自身を実験台にして、あらゆる事を試し、実践した。
そして最後には、あれほど悩まされていた「巨大なトラウマ」を克服する事に成功した。
今では、あの頃とは別人のような、自由な人生を送る事が出来ている。
プロフェッショナルコーチとして、クライアントの人生を変える仕事をしている。
数多くの経験則に基づいた、しっかりとした「ノウハウ」がある。
あなたのトラウマが消えない原因
トラウマ体験の記憶を「嫌悪」し、
無理矢理忘れようとしたり「なかったこと」にしようとすると、
必然的に、その「なかったことにしたい記憶」を確認する事になる。
何度も試みる度に、思い出す事になる。
これでは逆に、トラウマを鮮明に意識し続ける事になる為、逆効果である。
頑張って消そうとしても、根本的な解決にはならない。
まず、トラウマの「追体験のループ」をなんとかする必要がある。
思い出し、追体験する度に「大きな心理的ダメージ」を負うのだから、
そのままでは、快復のしようがない。
しかし「でも、嫌でも思い出しちゃうんですよ」という方も多いかと思う。
私もそうだった。
最初は難しくても、その時の自分で頑張れる範囲で始めたらいい。
「失敗」はない。ただ、ノウハウが蓄積されていくだけである。
正しい方向に歩き続けて行けば、やがて目的地に辿り着くのだから。
トラウマを克服する為の5つのステップ
自分自身の「劣等感」と向き合う
トラウマを追体験し続けている人は、その大半が強烈な「劣等感」を抱える事になる。
「自己否定感」「自己嫌悪感」「自分には価値がない」という強迫観念にも似た思いに囚われ、
自分の人生に対する「破壊衝動」「破滅願望」に駆られるようになる。
自分で自分をダメにし、人生の可能性を閉ざし、否定し、
まるで「悲劇のヒロイン」のような虚しい快感に浸る人もいる。
そういった状態から抜け出さないと、改善する事は難しい。
何よりもまず、
自分自身の「劣等感」と向き合うことが大切である。
「他人から言われた事」「物事の成功・失敗」、そういった「相対的な事」
つまり、「自分と何かを比べる事」「人それぞれの価値観や視点によって、如何様にも変化する事」と、あなたの価値とは関係がない。
あなたの「価値」は相対的に決められるものではなく、最初から「絶対的な価値」を持って生まれてきている。
「失敗したから、私には価値がない」「あの人から嫌われたから、私には価値がない」
そういった「しょうもない事」を後生大事に信じ続けている人が多いが、ハッキリ言って、何の意味もない。
自分を信じていないから、自分に自信がないから「他人の考え」や「社会的な評価」にすがりたいだけである。
もう、いい加減に「他人と比べる人生」を止めよう。
「相対的なもの」と「自分の価値」を紐付けるのを止めよう。
そうやって生きている限り、あなたはずっと「他人の奴隷」「会社の奴隷」といった、自分以外の「何か」に隷属して生き続ける人生を送る事になる。
シンプルに考えよう。
「そういった人生を、あなたは望みますか?」
「それとも嫌ですか?」
それだけなのだ。
嫌なら、立ち上がって前に進めばいい。
「言葉」を変える
あなたが日常的に使う「言葉」が、あなた自身の「セルフ・イメージ」に大きな影響を与えている。
いきなり自分の「考え方」「価値観」を変える事は難しいが「言葉」を変えることは出来る。
前述の「劣等感」を解消していく為にも、まず「自分自身を傷付ける言葉」と決別することが必要である。
ハッキリと決断しよう。「もう、自分で自分を傷付けない」と。
一度、自分の使う言葉を検証しながら1日を送ってみよう。
どれほど多くの「自分を傷付ける言葉」を使ってるいるかに気付き、愕然とすることだろう。
そして、他人に対する「言葉」も、傷付けるようなものは慎むべきである。
人間の脳は「言葉」を「言葉」としか認識できない。
「誰に対しての言葉か」は、理解できないのだ。
例えば、他人に対して「死ね」と言ったり思う事は、自分に対して言うのと同義である。
SNSなどの自己紹介で「心の病」を、どこか誇らしげに名乗る人がいる。
「鬱病です」「双極性障害持ちです」「リストカットしてます」など。
そうしてしまう気持ちもわかる。弱くて認められない「現状の自分」に「正当な理由」を付けることで、人は安心する事が出来る。
しかし、そういった行動は「泥沼の入り口」である。
自分で自分の事を「鬱病です」と名乗ったら、その時点で「鬱病患者としての人生」に無意識が傾いてしまう。
「鬱病患者の自分」というセルフ・イメージが形成され、逆に、そこから快復しようとする事に「違和感」「抵抗感」「恐怖感」を感じるようになる。
「向精神薬を飲んでいる自分」を辞めるのが怖くて、ずっと何年も飲み続けるような事例は多い。
普段何気なく使う「言葉の持つ力」の大きさに、多くの人が意識的になるべきだ。
建設的な「現実逃避」を行う
「現実逃避」というと不毛な意味合いで使われる事が多い言葉だが、これも「使いどころ次第」である。
「トラウマ追体験のループ」から抜け出す為に、良質な「映画」や「小説」などを読んで、その世界観を味わおう。
シナリオの練られた「アドベンチャーゲーム」なども良いだろう。
特に、名作と呼ばれる映画(ホラーはNG)を観る事をオススメする。
トラウマに苦しむ人は、どうしても目先の「辛い現状」に囚われてしまいがちになるので、良質なエンターテイメントを楽しむ事は「違う視点」「価値観」に気付くキッカケにもなる。
意識を「マインドフルネス」にする
トラウマとは「思考のノイズ(雑念)」と言い換える事もできる。
その「思考のノイズ」をクリーニングする為には、マインドフルネスの状態になる事が有効である。
マインドフルネスというと難しく聞こえるかもしれないが、要は「純粋に、穏やかに集中している状態」といえる。
例えば、大好きな事に時間を忘れるほど没頭したり、綺麗な川の流れを長時間ぼんやりと眺めていると、終わった後で、なんだか心がスッキリしませんか?
思考とは「思考の習慣」「思考のパターン」でもあるので、新しいアプローチを上書きする事によって、過去の思考パターンを書き換えたり、消していくことができる。
瞑想や座禅などは、特に効果を発揮する。
そんなに難しいものではないので、まずはCDブックなどを購入してやってみよう。
「過去の意味付け」を書き換える
トラウマを乗り越えた人は、過去の記憶の「意味付け」を変えている。
私が会社で致命的なミスをし、職場で孤立し「どん底」まで落ちた時、そしてそこから1歩目を踏み出す時に、心に誓った事がある。
『いつか、自分の人生を振り返った時に「あの時に失敗して良かった」
「あの時の失敗があるから、それを乗り越えてきたから、今の自分がある」と、言えるようになろう』そう決心した。
そして、今は「トラウマ」を懐かしく思い返すことができる。
「後悔」も「苦痛」もないし、むしろ微笑ましい。
結局、トラウマをトラウマたらしめているのは「自分自身の価値観」なのだ。
どれほど悲惨な経験であっても、自分の経験に意味を付けるのは、その権限を持っているのは、この世界でただ一人、自分だけである。
辛い記憶を、自分の意志で、違うものに変えよう。
トラウマがあなたにもたらしたものは「苦痛」だけだろうか?
長い人生において、なんらかの示唆を与えてくれたかもしれない。
その後の自己成長に繋がったかもしれない。
結局、自分自身の「人生の幸せ」を決めるのは「どこに視点をフォーカスするか」によって左右されるのだから。
「トラウマの意味付け」を変えたら、段々と気にならなくなり、思い出すことも減ってくる。
ごく自然な形で「あれはもう終わったことだ」と感じるようになり「過去に生きる人生」から脱却し、未来に繋がる「今」を生きる事が出来る。
「体のケア」をする
参照記事:【辛いトラウマに】身体に残った「感情の記憶」を解消する
どんなにメンタルを整えても、身体がトラウマを記憶していて、身体がガッチガチに凝っていたりすると、メンタルも引き戻される事がある。
心療内科でに通院しても改善しない事が多いのは「身体と心は繋がっている」という視点が欠けているからだといえる。
補足として、トラウマに悩んでいる人は、下痢や便秘を繰り返したりと、大半が「腸内環境の乱れ」も抱えている。
あまり知られていないが「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの90%が、腸内で作られている。
ちなみに、脳にはたった2%しか存在しない。
規則正しい食生活や睡眠も、もちろん大切だが、腸内環境も意識して整えていく必要がある。
いかがだっただろうか。
私自身のトラウマを克服する為に実践してきた方法、試行錯誤しながら見付けてきたノウハウを全て公開させていただいた。
「自分の人生は、変える事ができない」と考え、過去に呪縛されながら生きるのか。
「自分の人生は、自分で切り拓く事が出来る」と考え、未来を志向して生きるのか。
あなたは、選択することができる。
もし「一人では難しい」と感じるのであれば、私のコーチングを受けることをお勧めする。
人生を変えたいと思った時、コーチングを受けることは「最良の選択」である。
この記事が、あなたのトラウマを克服するキッカケになれば嬉しく思う。
明日は明日の風が吹く。