陰キャ専門ビジネスコーチ

私がやっていた仕事について

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「仕事で結果を出すスキル」「無敵の人間関係を創る技術」「ストレスリーのマインドセット」「自分の能力を発揮する技術」を教える専門家。「職場性ストレス」の第一人者。自身も元国営企業に17年間在籍。派閥や忖度が横行する弱肉強食の世界で、異例の若さで管理職に昇進。300人以上の部下をマネジメントし、あらゆる「仕事のトラブル」「人間関係の問題」を解決してきた経験を持つ。活動開始から5年間で様々な業種の会社員/管理職、起業家、経営者、コーチ/カウンセラーなど約500名をコーチング、1500人以上にサポートを行う。コーチングの世界的権威から学んだメソッドと、自身の壮絶な人生経験に裏打ちされたコーチング技術は、社会人が抱える悩みや問題を解消し「現実の成功/内面の成長」を掴む技術として定評がある。
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昨日が、17年間いた会社での「最後の日」だった。

淡々と仕事をこなしつつ、各方面に挨拶に周った。

 

もう退職して、別に問題ないので書くが、

私が17年間やっていた仕事は「新幹線清掃」である。

広大な車両基地で17年間、新幹線の「車内清掃」を始めとした各種清掃業務、

外部作業(水の入れ替え、汚物の排水)、リネン(シーツ、トイレットペーパー等)

そういった清掃全般の業務を担当していた。

『新幹線に乗車するお客様に「快適な車内空間」を提供する』

 

清掃業とは、すなわちサービス業である。

 

新幹線は16両編成と8両編成があり、

基本的に16両編成は「1つの号車で2人」が45分で作業し、

8両編成は「1つの号車で4人」が25分で作業する。

 

私は「班長」という中間管理職の立場であり、自分の担当する号車を相方と作業しながら、

他の3つの号車(合計4つの号車)の作業後の後点検・出来栄えチェックを担当していた。

床に落ちている「つまようじ1本」を見逃しただけで「ミス」の世界である。

他の号車のミスも、私が見逃せば、それは私の責任になる。

 

想像してみてほしい。

まったくやる気のない作業者達が、早々かつ適当に作業を切り上げて、

車内で「お喋り」や「スマホ」に興じている。

あなたは、ミスが多く小汚い「作業後」の車内を後点検する。

どれだけ控えめに、丁寧に言っても、ミスを指摘するとヘソを曲げる(笑)

そんな会社だった。

みんなそれぞれストレスを抱えながら、嫌々仕事をしていた。

ため息と「辞めたい」という台詞が、口癖のように飛び交っていた。

 

後点検をする私の後ろには、最後に係長が点検に来るが、もし私がミスを見逃し、

そこで係長がミスに気付かなかったら終わり。

あとは「ロシアンルーレット」である。

お客様がクレームを出せば、後から報告が来て、状況報告書を書かされる。

最悪の場合は、始末書もセットになる。

 

この「班長」という中間管理職の職務の根幹である「後点検」作業によって、

私の集中力・注意力は徹底的に鍛えられた。

自分でも、常人離れしていたと思う。

昔はダメダメだったが、何度も何度も試行錯誤し、

常に「今のやり方でベストか」「他に良い方法はないか」

といったことを意識しながら、仕事に打ち込んだ。

最後の方は、ミスを「違和感」で察知できるまでになった。

 

なぜ、それほど極限までに自分の集中力・注意力を鍛える必要があったのか?

 

誰もやる気がない会社だったので「ミス」や「見落とし」が当たり前にあったからである。

座席が飲み物で濡れていたり、血まみれなのを発見したこともあったし(担当者が座席点検をしていない)

座席のシーツを貼り忘れて、付いていないこともあったし(そのまま本線に出ると大問題になる)

制服の上着を、そのまま車内に置き忘れていく人間もいた。

「常識ではあり得ないミス」が頻発する会社で、

「大きなリスク」を引き受け続けた。

 

仕事に誇りを持ってやっている人間は、本当に少なかった。

ベテランでさえ「ただのそうじ屋だから」と自嘲気味に言うような職場だった。

私も、ここに来て数年はそうだった。

 

 

ただ、ある時気付いた。

『仕事に対して「いいかげん」に向き合っていると、

その「意識」は人生全般に悪影響を及ぼす』

ということに。

「人生がいいかげん」になるのだ。

 

 

そして「清掃」というものと真剣に向き合った時、

それは大きな「学び」となる。

突き詰めていくと「清掃」とは、

「自分の心をキレイにすること」である。

 

何故、一流の経営者は社内の「トイレ掃除」を重要視するのか?

世界的な映画監督であり、お笑い芸人の北野武は、今でも自分でトイレ掃除をするのか?

そこには、ちゃんとした「理由」があるのだ。

 

 

この17年間、会社で数え切れないほどの人間を見てきた。

どんなにちゃんとした人でも、この会社に1年もいると、大体みんな駄目になっていった。

悪い企業体質に「染まってしまう」のだ。

楽な「ぬるま湯」に、浸ってしまうのだ。

 

人間は「同じ価値観の仲間」を作ろうとする生き物である。

 

駄目な人は、駄目な人と友達になりたいし、群れたいのだ。

何故か?

「安心したいから」である。

「自分だけじゃないから大丈夫」だと思いたいのだ。

 

こういった、

「人がダメになるパターン」を、ウンザリするほど目の前で見てきた。

最初は期待を寄せていた新人も、大体駄目になっていった。

「なんでダメなんですか?みんなやってるじゃないですか!」

 

「ああ、またこの台詞か・・・・」

いつもの「お決まりのパターン」だった。

 

ただ、楽な方に染まれば染まるほどパワーがなくなり、人生に対して悲観的になり、

とても「幸せには見えない」様子になっていく。

 

「結局どうしたいの?」みたいな状況になる。

 

目を逸らし続けている限り、目の前の課題は無くならない。

自分に対して「本当はどうしたいのか?」

そこと向き合う必要がある。

 

こういった「人がダメになるパターン」を見続けている内に、

「人は、時として「自分の幸せ」と真逆の選択をしてしまう」

という事実に気付き、「人の心」に対する興味が深まっていった。

 

「人がダメになるパターン」を熟知しているから、

その「逆のアプローチ」をしたらいい。

 

この17年間の「経験」が何かの役に立つ日が来るとは思わなかったが、

私のメンタルコーチとしての「強み」は、そこにあると言っていい。

叩き上げの、ブルーカラーの管理職、サラリーマンとしてやってきた。

 

「人間関係の悩みに機微」について、熟知している。

大体の「サラリーマンの悩み」は、体感で分かっている。

 

「職場の悩み」「人間関係の悩み」を抱えている人、

自分の人生を「どうやって生きていって良いか分からない人」

この国に数え切れないほどいるであろう、

そういった人達の「力」になりたい。

 

それが私の「人生のミッション」である。

 

 

 

 

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