仕事のミスは準備不足が9割。上司を黙らせる「プロの準備と段取り」の技術
「仕事に結果を、自分に誇りを」
ビジネスメンタルトレーナーの木下空です。
「気をつけているのに、ミスが起こりがち」
「小さなヒヤリ・ハットが頻発する」
「段取りが悪く、仕事がスムーズに回らない」
「仕事で上司や取引先を待たせてしまうことが多い」
もし、今あなたがそんな状態で仕事をしているなら、厳しいことを言うようですが、
それは仕事というより、運任せの「ギャンブル」と同じかもしれない。
仕事のミスの9割は「不運な事故」ではない。
シンプルに、単なる「準備不足」であることが多いんです。
私はこれまで、たくさんのビジネスパーソンへ業務改善や業績向上のアドバイスをしてきましたが、一つ、面白いことに気付きました。
それは、「仕事に自信がない人ほど、ぶっつけ本番でやろうとする」ことです。
「仕事でミスが多いんです…」と悩む人のやり方をヒアリングしてみると、驚くほど「行き当たりばったり」なんですよ。
「え、なんで準備しないの? 逆に怖くないの?」と聞きたくなるくらい、ぶっつけ本番で勝負している。
仕事というのは、才能やセンス以前に、「準備」と「段取り」で決まるもんです。
ただ、決してわざとやっているのではなく、「準備と段取り」を知らないだけ。
そこを学ぶ機会がなかったことは、本人だけのせいではない。
ただ、仕事ができる人は、決して「ギャンブル」をしません。
彼らは、オフィスに着いてパソコンを開く前に、すでに頭の中で「今日の仕事の流れ」を見ている。
今回は、
・仕事を「焦り」ではなく「余裕」でやる
・ミスをなくして最短最速で成果を出す
ための「準備」と「段取り」の技術についてお伝えしていきます。
目次
「準備」と「段取り」は別もの。ミスを連発する人の決定的な勘違い
まず大前提として、仕事において最重要なものは「信用・信頼」です。
「結果」と「評価」を得ることが、「信用・信頼」につながる。
仕事って、信用・信頼というポイントを積み上げていく「ゲーム」なんです。
本気でやるゲーム。
信用・信頼がなかったら、本当に何もできない。
どれだけ能力が高くても、毎回バタバタして納期ギリギリだったり、ミスを連発する人間に、大事な仕事は任されない。
そして、私が会社員時代に至った結論があります。
仕事は「準備」と「段取り」で決まる、ということ。
ちなみに、
多くの人が「準備」と「段取り」をごちゃ混ぜにしています。
・「準備」とは、『万全の状態』を作ること
対象は「モノ・情報・環境」です。
必要な資料は揃っているか? 会議室は押さえたか? PCの充電はあるか?
本番で「あ、あれがない!」と中断しないよう、不足をゼロにする作業
・「段取り」とは、『最善の手順』を組むこと
対象は「時間・行動・流れ」です。
AとB、どちらから着手すれば手戻りがないか? どこがボトルネックになりそうか?
本番で「えっと、次はどうしよう?」と迷わないよう、ゴールまでの最短ルートを設計する作業
仕事で起こるミスの原因の大半は、
準備か段取りを上手くやっていないことから生まれる。
「準備」が足りないと、物理的に仕事が止まる。
「段取り」が悪いと、非効率な動きで時間を浪費する。
上司が「段取りが悪い!」と怒るのは、準備(モノ)が足りないことよりも、
「なぜ、その非効率な順番で進めた?」
「なぜ、そこで詰まることを予測できなかった?」
という、プロセス(手順)への思考停止に対してなんです。
「理不尽な上司」への最大の防衛策
会社組織にいると、人間的にアレだったり、理不尽な上司に遭遇することもある。人格否定や、ネチネチとした陰湿な口撃も飛んでくる。
「なんであんな言い方しかできないんだ?」と腹が立つこともあるかもしれない。
ただ、残念ながら相手の性格は変えられない。それは相手の課題だから。
そして、一つだけシビアな現実を言います。
理不尽な攻撃をしてくる上司に対し、「攻撃の隙を与えてしまっている」のは、こちらの問題なんです。
・提出書類の誤字脱字
・「あの件どうなった?」と聞かれた時の曖昧な返事
・会議に必要な資料の準備忘れ
こういった、注意すれば誰にでも防げる「初歩的な凡ミス」
これが、彼らの怒りに火をつける「最大の地雷」になる。
だからこそ、私たちにできる最大の防衛策は「ミスをしないこと」
文句のつけようがない
「しっかりとした準備と段取り」
これに尽きる。
仕事で及第点レベルの結果を出せなかったり、事前の気配りで防げたようなミスをしたり、どんくさいやり方で仕事が回らない。
そういった「隙」を見せると、つけ込まれてしまう。
たとえば、
上司が「おい、ここどうなってるんだ!」と怒鳴ろうとした瞬間、あなたが「ああ、その件なら資料の3ページ目です。リスク対策も完了済みです」と涼しい顔で答えたとしたら?
相手は振り上げた拳の下ろしどころを失い、黙るしかない。
これこそが、
私たちが目指すべき「完全勝利」である。
ミスは、信頼を一瞬で破壊する。
逆に言えば、しっかりとした段取りで隙を見せなければ、どれだけ嫌な上司でも文句は言えない。
「この人だけには怒られたくない!」
そう思う相手がいるなら、その恐怖をエネルギーに変えるんです。
「絶対にツッコミどころを与えない」という、ゾーンに入るくらいの集中力で、準備をやり切る。
しっかりとした準備と段取りこそが、あなた自身を守る盾になる。
ちなみに、私にも苦い思い出があります。
会社員時代、ほぼ全員から嫌われている「伝説の管理職」みたいな人がいた。
本当に嫌味な性格で、自分の気分次第で突然激昂する。
まさに「理不尽の塊」
その人と業務の話をしている時に、突然
「お前なんだその顔は!!」
と、鬼の形相で怒鳴り散らされたこともあります(笑)
当時の私は未熟だったので、その人への苦手意識が顔に出ていたと思われる。
ただ、私は逃げなかった。
最終的には、その人の仕事のスタイル、やりたいこと、望んでいることを徹底的に分析して、「その人が気持ちよく仕事できる段取り」を創り上げ、やり続けた。
その結果、
私はその上司から絶大な信頼を寄せられるようになり、会社を退職する時には、「木下、頑張れよ!」と、笑顔で送り出してもらえたんですよ。
準備と段取り。
そこには、人間関係すら変える力があるんです。
そして準備と段取りには、もう一つ重要な効果があります。
それは「ストレスの低減」と「モチベーションに繋がる」ということ。
心理学的に、人は「自分の行動で状況をコントロールできている」と感じる時(自己効力感が高い時)、モチベーションが上がり、ストレスが激減すると言われている。
逆に、「何が起きるかわからない」「追われている」という状況は、脳にとって最大のストレスになる。
準備と段取りには、仕事を「やらされるもの」から「自分がコントロールするもの」に変えるという意味もある。
「未来を自分で段取りする」
そう考えるだけで、仕事に対する見方が変わり、もう少し楽しめるようになる。
では、具体的に「何を」準備すればいいのか?
精神論だけでは意味がないので、「失敗しないための4つの準備」を紹介します。
この4つが揃っていない状態で仕事を始めるのは、裸で戦場に行くようなもんです。
失敗しないための「4つの準備」フレームワーク
1.「心」の準備(マインドセット)
これから行う仕事に対して、覚悟や心構えを持つこと。
私にとって、心の準備とはシンプルに「決めること」です。
「よし、今日もキッチリ仕事するぞ」
そうやって心で決めていないと、人間はどうしても嫌々やったり、他のことを考えながらだったり、ダラダラやろうとしてしまう。
そしてもう一つ。
「この仕事の『完了』とは、具体的にどういう状態か?」
これも最初に決めておく必要があります。
「とりあえず資料を作ろう」という曖昧なスタートではなく、
「部長が一発でOKを出すレベルで、30分以内に構成案まで仕上げる」と決めてから始める。
仕事を始める前に、「やる気(覚悟)」と「ゴール(着地点)」を自分で決める。
その「決断」こそが、迷いや雑念を消し去り、質の高い「集中力」を生み出すスイッチになる。
2.「用意」の準備(リソース)
物理的な準備。
必要な資料、PCの充電、会議室の予約は当たり前。
ここで一番重要なのは、「作業中に『探す時間』をゼロにする」こと。
多くの人が、作業を始めてから「あのファイルどこだっけ?」「あのメールの内容なんだっけ?」とPCの中を探し回ります。 この「探す」という行為が、最も集中力を削いでしまう。
・必要なファイルやWebページは全て開いておく
・参考にするメールやデータは画面に出しておく
・使うツールはデスクの定位置に置く
一流の料理人が、フライパンに火をつけてから野菜を探しに行かないのと同じで、全てをまな板の周りに揃えておくこと(これを料理の世界で「ミザンプラス」と言います)
「始まったら、あとはやるだけ」
この状態を作ることが、プロの「用意」だといえる。
3.「スケジュール」の準備(プロセス)
その日の業務の全体の流れ、手順と時間配分の確認(超重要)。
どの作業にどれくらいの時間がかかるかを見積もり、優先順位を決める。
ポイントは、「自分が思う1.2倍の時間」で見積もっておくこと。
自分の能力を過信してギチギチに予定を詰めると、1つの想定外の出来事で破綻します。
ゴール(退社時間)から逆算して、どの作業にどれくらいかけられるか?
ここが甘いと、必ず残業することになってしまう。
4.「想定外」の準備(リスク管理)
これが最もプロフェッショナルな準備だといえる。
多くの人は「上手くいく前提」で計画を立てるが、プロは違う。
「もし上手くいかなかったらどうするか?」というリスク管理(Bプラン)を必ず持っている。
・「もし会議が長引いたら、この作業は明日に回そう」
・「もし上司の機嫌が悪かったら、報告のタイミングをずらそう」
不測の事態を予測しておけば、いざという時にパニックにならず、冷静に対処できる。
これが「余裕」の正体である。
準備とは、言い訳を排除することでもある。
準備不足や段取りの不手際で失敗した時に、「時間がなかった」「想定外だった」と言い訳をするのはアマチュア。
そんなダサいこと、自分にさせるのはやめましょう。
「準備とは、言い訳を排除すること」
この言葉を、ぜひ肝に銘じておいてください。
脳内で仕事を完結させる「メンタル・リハーサル」
4つの準備が揃ったら、いよいよ本番…と言いたいところですが、まだ早い。
ここで焦って手を動かすと、結局バタバタしてしまう。
そこで私が推奨しているのが「メンタル・リハーサル」です。
これは、トップアスリートが試合前にやる「イメトレ」と同じです。
実際に仕事を始める前に、脳内で一度シミュレーションを行って、「脳にリハーサルを経験させる」
これをやると、本番でも落ち着いて動けるようになる。
どんな職種の方でも、すぐに実践できますよ。
「メンタル・リハーサル」3つのステップ
1. 開始前の「30秒の儀式」
仕事場に着いたら、道具や業務に触れる前に、あえて「30秒間、動きを止める」こと。
いきなりメールを見たり、作業を始めたりすると「自分以外のペース」で仕事が始まってしまう
まずは深呼吸し、その後「今から仕事を始める」とスイッチを入れる。
この30秒の儀式が、脳を本番モードに切り替える。
2. 脳内で「早送り再生」
さきほど準備した「段取り」をもとに、
朝から仕事が終わるまでの自分の動きを、動画の「3倍速」で再生するイメージ。
「まずはAを片付けて、移動して、Bの人と会って、戻って報告して…」
文字ではなく、自分が動いている「映像」でイメージするのがコツ。
一度脳内で再生しておけば、現実が「再放送」のような感覚になり、焦らなくなる。
3. 「最高の結末」と「避難訓練」
ここが一番のポイント。
2つのパターンを想像します。
最高のパターン:全てのタスクが片付き、「よし、完璧!」と達成感を味わって終了する自分。(これで脳にドーパミンを出す)
最悪のパターン:「もし予定が狂ったら?」「もし急な割り込みが入ったら?」
あえてトラブルを想像し、「その時は、こう返す」「その時は、これを後回しにする」と対処法を決めておく。
ここまでやっておけば、何が起きても「想定内」になり、パニックになることはない。
脳は「イメージ」と「現実」を区別しない
脳科学には「機能的等価性(Functional Equivalence)」という言葉があります。
これは「鮮明にイメージされた行動は、実際に体験したことと同じように感じる」というもの。
怖い夢とか見たら、めっちゃドキドキするじゃないですか?あれです。
ハーバード大学の研究でも、「ピアノを弾く想像をしただけの人」と「実際に弾いた人」の脳の反応は、ほぼ同じだったと実証されています。
つまり、朝の数分間このリハーサルを行うだけで、脳は「一度経験したこと」として仕事を処理できるようになる。
だから、本番(実際の業務)で焦ることがなくなる。
「想定内」のことしか起きないわけですから。
仕事を始める前に、「頭の中でその日1日の仕事を終わらせてから、実際の仕事を始める」
これが効率よく仕事を進める究極のコツです。
準備とは「未来の自分」へのプレゼント
最後に。
「準備って面倒くさいな」と思っている方もいるかもしれない。
確かに、準備にはエネルギーがいる。
ただ、そのエネルギー無駄ではなく、むしろ「未来への投資」なんです。
朝、しっかり段取りをしておけば、夕方の自分は余裕を持って仕事ができる。
逆に、朝の自分がサボれば、夕方の自分はトラブル対応に追われて疲弊したり、ミスして落ち込むことになる。
動けるうちに、用意をしておく。
「今の私」が動くことで、「未来の私」が助かる。
ただし、一つ注意点があります。
「完璧な準備ができるまで動けない」
この完璧主義の罠にはまらないこと。
完璧な準備ができるまで待っていたら、チャンスを逃してしまうので。
まずは仮説を立てて「試行」から始めていきましょう。
動きながら、「あ、これも必要だな」と気付いたら、そこで改善すればいいだけなので。
「今すぐやれることを、やれる範囲で粛々と進める」
それが、最強の準備です。
仕事も人生も、準備なしで挑むのは、無謀なギャンブルと同じ。
明日、会社に着いたら、
仕事の前に深呼吸しながら、終わりまでイメージしてみてください。
「キッチリ仕事をやり終えて、達成感を感じながら清々しい気持ちで家に帰っている自分」を。
「準備」と「段取り」をやり続けた先に、
あなたが欲しかった結果がある。
あなたが求めていた評価がある。
応援しています。

