【伝説の記事】爺さんのブルース

今回は、2009年10月12日に、
私が某SNSに書いた伝説の記事
「爺さんのブルース」の封印を解き、掲載しよう。
現代社会の闇(?)を描いた、笑劇的な内容になっております。
当時の私は、30歳のサラリーマンで、
コーチングや、人間の心理について何も知らなかった。
仕事や家族関係で、毎日ストレスまみれだったが、
「でも、人生なんてそんなもんさ」と、
自分なりの楽しみを見つけて生きていた頃である。
ちなみに、記事内に登場している彼女とは、
とっくの昔に別れている。笑
今日は、彼女さんと神戸花鳥園に行ったのですが、
行きしなの電車の中でこんな事がありました。
僕「窓際の席は眺めが良いね」
彼女「わくわくするね」
「あんた、定年ちゅう制度についてどう思う?」
突然、対面の席に座っていた白髪の爺さんが話しかけてきた。
右手にワンカップの酒、左手に何故かおしぼりを握りしめていた。
爺「定年についてどう思う?」
僕「そうですね~、昔だったら老後を安心して暮らす為の制度だったんでしょうけど・・・」
爺「ワシは定年で切られてもうたんや」
僕「そうですか・・・」
爺「松下、ナショナルに勤めとってまだまだ働く気もあったのに、定年で切られてもうたんや」
爺さんは完全に出来上がっていた。
僕の隣でオロオロと戸惑う彼女氏。
僕「うちの会社は、定年した後延長して働いてる人が、けっこういますよ」
爺「ふぇー、そうかい。スマンね、5杯飲んでんのや」
爺さんの鼻から鼻水が出る。
おしぼりで鼻水を拭く爺さん。
僕「がんばってください」
爺「乾杯?」
1人で乾杯する爺さん(笑)
爺「まぁ、こんな事言うたらアレやけども」
爺「50年後、(アンタも)こんなんなっとるで」
突然、不吉な事を言いだす爺さん(笑)
彼女が爺さんに、一口サイズのイカせんべいを2枚あげた。
1枚づつ大切に食べる爺さん(笑)
そして戦時中に父親と死別した話になり、感極まって涙ぐんだ爺さんだったが、
突然鼻水が鼻からテローンと落ち、膝の上に!!
僕「拭いた方がいいですよ」
電車は、目的地の三ノ宮駅に到着しようとしていた。
僕「三ノ宮駅で降りますんで・・・」
爺「そうか・・・、神戸は昔、軍艦やら何でも作りよったんや」
僕「港町ですもんね」
三ノ宮駅に着いたので、爺さんに「がんばってください」と言い、電車を降りました。
爺さんの「100万$の笑顔」に見送られながら・・・・。
その後、神戸花鳥園に行って、帰りに南京町で老祥記の肉まんを食べました。
完
いかがだっただろうか。
当時の自分の「ささやかな日常の幸せ」が思い出され、感慨深い。
あの後、どうなったのかはわからないが、
爺さんの幸せを祈りたい。
明日は明日の風が吹く。