「人が離れていく殺伐とした職場」7つの原因と4つの改善策

今回のテーマは、
「殺伐とした職場」の原因と改善策について。
人が離れていく会社の社長
知り合いの経営者に、
いつも「人が足りない」と口癖のようにこぼす人がいる。
「優秀な人ほど辞めていくし、使えない従業員しか残らない」
「今は人材難の時代だから仕方ない」という。
一聴すると、もっともらしく聞こえるかもしれない。
しかし、彼は3年前も同じことを言っていた。
私は、彼の会社の人達とも知り合いで、
内情について良くわかっている。
殺伐とした雰囲気の「人同士の関わり」が薄い職場である。
職場が殺伐としていると人は離れていく
私は、17年間「元国営企業」で管理職として組織マネジメントに従事した経験や、
メンタルトレーナーとして多くの会社員と向き合ってきた経験から、
「企業体質」「組織運営」の改善、問題解決法は熟知している。
前述の知り合いの経営者の場合も、
結局、トップの経営者が持つ「価値観」が、
「人が離れていく職場」という結果として表れただけである。
彼の「言動」「行動」「従業員との関わり方」
その全てによって「必然の結果」として、
「人が離れていく殺伐とした職場」に帰結していっただけなのだ。
誰のせいでもない。彼自身が選択したことである。
しかし、こんな話はどこにでもある。
このブログを読んでいる方は、会社員や管理職の方が多いかと思う。
もし、あなたが職場で「人が離れていく」「チームがバラバラ」
「部下のモチベーションが低い」という悩みを抱えているのであれば、
こういった原因が考えられる。
「人が離れていく殺伐とした職場」になる7つの原因
①上司と部下の信頼関係が成立していない
「数字だけ、業績だけ上げればいい。その為に賃金が支払われている」
そういった考えを持った上司についた部下は不幸である。
「数字」だけを見て「人」を見ていないから、職場には殺伐とした空気が流れる。
上司と部下の間に、人間関係、信頼関係が築かれていなければ、
当然ながら、理想を持った優秀な部下ほど去って行ってしまうだろう。
②「労いのコミュニケーション」が存在しない
人間は「自己承認欲求」が満たされないと、やる気を失う。
一生懸命に働いていたら、そこに対する承認が欲しい。
「いくら頑張っても、誰にも何も言われないし反応もない」
そんな職場で、頑張って働きたいと思うだろうか?
上司は常に、部下に対して「労いのコミュニケーション」をかけて、
部下の努力に対する「承認」を与えてあげる必要がある。
「俺の方が仕事がキツイんだから、これ位やって当たり前」
「言わなくてもわかるだろう」という管理職は、
「管理職」の意味を理解していないし、
自分の職務を放棄していることに気付くべきである。
③仕事に対する「上司のフィードバック」がない
部下の仕事、行動に対して、常に注意を払い、耳を傾けること。
常に彼らに注意を払い、耳を傾け、フィードバックを与えることが大切である。
フィードバックがないと、修正点・改善点に気付くことが難しい。
もし、上司がフィードバックを与えない場合、
部下は途方に暮れて、モチベーションも下がってしまうだろう。
④現場の「部下の意見・提案」に耳を貸さない
部下の意見、改善提案に耳を貸さない上司は多い。
信頼関係を気付く為には、とにかく「相手の話を聞く姿勢」を持つことが重要である。
部下が上司に対して「この人に何を言っても無駄だ」と思われたら終わりである。
社内で発生した問題は放置されたり、隠蔽されることになる。
部下の言葉に、いかに真摯に耳を傾けるかで、信頼関係は変わってくる。
⑤イエスマンだけを重用したり、えこひいきする
自分に都合の良い、耳障りの良い言葉だけを言う、
いわゆる「イエスマン」で周りを固めてしまう上司がいる。
そういったイエスマンは、自分の出世や利益だけを追求するタイプの人間である場合が多い。
イエスマンだけを「えこひいき」していると、組織は硬直し、腐敗していく。
えこひいきが横行する職場は「ストレスの温床」でしかない。
実直に努力している部下は、モチベーションをなくすだろう。
⑥部下に「裁量権」を与えない
仕事に情熱を注いでいる部下に「裁量権」を与えず、
小さな枠の中でだけ仕事をさせていると、
必然的に不満を持たれ、やる気をなくしてしまう。
部下に裁量権という「情熱を追求する機会」を与えることは、
「生産性」と「仕事の満足度」を向上させるために重要である。
⑦仕事を丸投げし、見守らない
これも、管理者が自分の職務について理解していないパターン。
部下に仕事を丸投げし、
「じゃ、よろしく」とばかりに去っていくタイプの上司。
根底にあるのは「人と向き合うことが億劫だ」
「人を育てることが面倒臭い」という意識である。
そんな人間がマネジメントをする資格はない。
部下を育てるために、敢えて手を貸さないことはあっても「見守ること」は必要である。
人が辞めていく、まとまりのない職場
- 上司と部下の信頼関係が成立していない
- 「労いのコミュニケーション」が存在しない
- 部下の仕事に対する「上司のフィードバック」がない
- 現場の「部下の意見・提案」に耳を貸さない
- 「イエスマン」だけを重用したり、えこひいきする
- 部下に裁量権を与えない
- 仕事を丸投げし、見守らない
文字にして書いてみるとわかるが、
誰でも「これでは人が離れて行くのも当然だよね」と納得できるかと思う。
部下にとって上司とは「数年後の自分の姿」である。
上司が嫌そうな表情で、愚痴やため息を吐きながら仕事をしていると、
部下は「自分は、こうはなりたくないな」と思うのが当然なのだ。
だが世の中を見渡してみると、こういった状況はいくらでもある。
職場の改善点に対して「ウチは昔からこうだから」と思考停止するのではなく、
自身の「理想」を持って変えていきたいものだ。
「人が離れていく殺伐とした職場」を改善する4つの方法
①充分な「コミュニケーション」をとる
あらゆる人間関係の問題は「コミュニケーション不足」から起こる。
お互いの「意思の疎通」が取れないと、そこからズレや誤解が発生するのだ。
価値観の違う人間同士を結びつけるのが「コミュニケーション」である。
自分の中では「知っていること」「当たり前のこと」だから、
部下に対して「言うまでもない」と思っていないだろうか?
そもそも、「コミュニケーションの目的」は何だろうか?
何の為に、相手とコミュニケートするのだろうか?
目的は2つ。
「自分の意図を伝える」
「相手の意図を知る」
その目的のために、コミュニケーションは行われる。
そして、
理想的なコミュニケーションは「相手の視点」に立って考えることで生まれる。
例えば、自分の視点だけで喋るのと、
部下の立場・キャリアを考えてから喋るのでは、
「使う言葉」「使う表現」も変わってくる。
相手に伝わりやすい言葉、伝わりやすい表現を使うはずだ。
常に「コミュニケーションの目的」を意識して、
双方向で密に関わっていくことを心がけよう。
業務においても、細やかな「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」を心がけ、
常に「情報共有」しておこう。
②信頼関係を築く
仕事に限らず、「人間関係」とはつまり「信頼関係」である。
信頼できない人間と、一緒に仕事をしたいだろうか?
未だに「ノルマ」「業績」「数字」至上主義の前時代的な会社は多いが、
例外なく「職場の雰囲気」は殺伐としている。
それで会社が上手く機能しているなら、あなたがそこで働いて満足しているなら、
それでも構わない。
しかし、そういった会社の大半が『自分の「苦痛な時間」と「カネ」を交換するだけ』の、
殺伐とした「取引の場」としてしか機能していない。
最後には、自分が「生きる為に働くのか」
「働く為に生きるのか」さえわからなくなってくる。
殺伐とした状況を改善したいのであれば、
まず、社員間の「信頼関係の構築」に努めよう。
難しいことではなく、人間として「当たり前のこと」をやるだけである。
「人格を磨く」「相手を尊重する」「仕事をキッチリと仕上げる」
「義理を果たす」「筋を通す」「約束を守る」
「建設的な考えを持つ」など。
そして常に相手の対して「肯定的に向き合う」ことが大切である。
部下の「欠点」「短所」だけを見て、
上からガミガミ叱責したり、圧力をかけて強制させても、
心理的な反発を招くだけである。
相手を「1人の人間」として尊重し、
同じ職場で働く上司として、より良い方向に導いてあげられるように、
常に意識しておきたい。
③同じ目標・ビジョンを共有する
会社という組織運営には、多くの人が関わっている。
各人それぞれの価値観、目的の違いはあれど、
組織として、大まかな「方向性」「目標」「ビジョン」を共有することが重要である。
その「共有意識」が、チームとしてのまとまり、結束を生み出す。
チームとして、お互いのサポート、助け合いが生まれる。
そして、前述した通り
上司は部下にとって「数年後の自分の姿」を想起させる存在である。
いつも冴えない表情で、愚痴や文句ばかりの上司を見て、
部下が「ここでずっと働きたい」と思うだろうか?
部下が、上司の背中を見て「同じ方向」に進みたいと思ってもらえる様な、
「規範の存在」でいることを心がけよう。
④「ES(従業員満足)」の向上に努める
「CS(顧客満足)」は意識するが、
「ES(従業員満足)」はおざなりな職場は多い。
当然ながら、
「居心地の悪い職場」は社員の不満が溜まりやすく、離職率も上がる。
職場環境の「改善」を、常に意識しておきたい。
お金をかけなくても、ちょっとした気遣い、善意の行動で環境改善はできる。
殺伐とした職場を良くしていくために
いかがだっただろうか。
人が離れていく職場には、
共通する「殺伐とした雰囲気」がある。
今回お伝えした、
「人が離れていく殺伐とした職場を改善する4つの方法」を実践することで、
少しづつ「職場の雰囲気」が良くなっていく。
「雰囲気」とは、そこにいるメンバー全員の「心の状態」が集積して生まれるものである。
常に「雰囲気」を感じながら、バロメータとし、
皆が働きたくなる様な「環境づくり」を心がけていきたいものだ。
明日は明日の風が吹く。
※このブログ記事は、
2017/07/13『注意!あなたの会社が「部下が辞めていく職場」になる7つの原因』
2017/07/14『「部下が辞めていく職場」を変える4つのポイント』
の2つの記事をリライトし、まとめたものです。