【環境を変える】異動という選択について

「職場の環境・人間関係が辛くて、異動したいんです」
という方の相談に乗った。
「イジメ」まではいかないが、
仕事が遅いことに対して、
周囲から馬鹿にされ、嘲笑され、
「お荷物」のように扱われている、と。
その会社は、事業所が何箇所かあり、
「異動願い」を出せば、特に問題なく異動できるそうだ。
しかし話を聞いていると、
この人にとって「異動」は、
問題の根本的な解決にならないのではないか、
という印象を受けた。
確かに「環境を変えること」は大事である。
しかし、まず一番大切なことは、
「自分で自分を肯定すること」
「深いレベルの自信を持つこと」
つまり、セルフ・イメージを高く持つことである。
自分を好きでいることである。
そこが最優先事項であり、
「それ」があらゆることの前提になければ、
何をやっても楽しめないし、
なかなか結果も出てこない。
「異動」したことによって、
本人の意識の中で「逃げた」という
後ろめたいイメージが残ってしまわないか。
劣等感を増大させる結果になってしまわないか。
そこが懸念された。
例えば、
イジメを受けた子供が別の学校に転校しても、
またイジメを受けることがある。
環境を変えることよりも先に、
本人の「意識の変化」が必要だと感じた。
何のために「異動」するのか?
という「問い」を突き詰める必要がある。
「とにかく辛いから逃げたい」
「ただただ楽になりたい」
それは「受け身の、流される生き方」の発想であり、ただの「逃避行動」である。
誤解しないでいただきたいが、
「逃げる」ことも時には必要である。
しかしそれは、戦略的な「一時撤退」であり、
「勝つ」ための自立的な行動である。
「百獣の王」ライオンであっても、
戦況によっては逃げるのだから。
私の場合の話をしよう。
管理職に昇格した年に、職場で致命的なミスをして係長全員から取り囲まれて批判され、
ショックで翌日から高熱を出し、体調を崩して40日間休職した。
その時に異動しようか、退職しようか迷ったことがある。
(管理人プロフィールを参照)
もう「打つ手なし」の状況にしか見えなかったからである。
会社内での評価はどん底まで落ち、
職場の大半の人間を敵に回し、
馬鹿にされ、根も葉もない噂をばら撒かれ、
ここぞとばかりに苛烈なバッシングを受けた。
精神的に弱っていた事もあり、
本気で「潰される」という恐怖を味わった。
倒れた時に、頭を踏みつけられたような気分だった。
「もう、死んで楽になりたい」とも思った。
しかし、その時の「怒り」が、
そこから這い上がる一時的な原動力になった(不毛なエネルギーだが、時には必要である)
絶望的に遠い道のりだったが、
そこからは、人生をかける「覚悟」を持って仕事に臨んだ。
「何を言われても構わないが、仕事に関して馬鹿にすることだけは許さない」
「他は全部捨ててもいい。そこだけは絶対に譲らない」
「仕事に対して、高いレベルの結果を出し続ける」
「絶対に、二度とミスを起こさない」
そういった「覚悟」である。
「覚悟の力」こそが最強である。
私のような人間でも、どん底から這い上がれたのは、
「覚悟」を決めたからである。
今になって「あの時に異動しなくて良かったな」と思う。
もう誰からも、仕事の実力に関しては馬鹿にされることはなくなり、
自分の中で「ケジメ」を付けることができたからである。
結局、
異動してもいいし、異動しなくてもいい。
誰に何を言われようが、構わない。
あなた自身が「やれること」をやり、
最終的に「自分はよくやった」
と自分にケジメを付けられたら、
それでいいのである。
明日は、明日の風が吹く。
失敗すればやり直せばいい。
やり直してダメなら、
もう一度工夫し、
もう一度やり直せばいい。
松下幸之助