【メンタル不調で休職→復帰】私がどん底から復活するまでにやったこと
人事担当の責任者に、消えそうな声で伝えた。
「休職させてください…」
相手から、冷ややかな視線を感じる。
机の上には「不安障害」と書かれた診断書があった。
今から約15年前、管理職時代の私の話である。
今思い出しても、あの時期はキツかった。
・頑張り過ぎて限界がきた
・大きなミスをして心が折れた
・過大なプレッシャーで潰れてしまった
・社内メンバーからのバッシングに耐えられなくなった
もちろん、体調不良を理由に休むことはしたくなかった。
当時は「休職したら終わりだ」と思っていた。
ただ、もう「仕事ができる状態」ではなくなっていた。
シンプルに、心が折れていた。
結局、私は40日間休職した。
その後復帰したものの、待っていたのは「マイナスからのスタート」だった。
乗り越えるまで、様々な苦労があった。
この記事を読んでくださっているあなたは、まさに今、休職中という状況にいるのかもしれない。
相当、精神的にキツい状況に陥っていたり、全てを失ったような絶望感、喪失感に襲われているかもしれない。
「今は休んでいるけど、いずれは復帰しなければいけない」
「でも、上手くやっていけるのか」
そのプレッシャーと不安にも苛まれているかもしれない。
まず、あなたにお伝えしたいことがあります。
大丈夫です。
この状況、良くしていけますから。
もちろん、正直に言いますが、簡単ではない。
しかし、正しいプロセスを進めば、困難なことでもない。
一番は、
「どうすればいいかわからない」だと思います。
初めての状況だし、
自分のパフォーマンスも(今は)発揮できないから。
誰かにアドバイスを求めようにも、
実際にやった人間にしか、わからないですからね。。
今回は、
「休職→復帰→返り咲き」という経験を持つ私が、
・休職中のベストな過ごし方
・復帰直後を乗り越える方法
・評価と信頼を取り戻すための「コミュニケーション技術」
これらを、私の実体験(失敗も成功も含めて)を交えながらお伝えしていきます。
休職中の過ごし方と心構えについて
まず、「休職中に気をつけること」からお話しします。
一番の敵は、実は「暇」なんです。
休職すると、当然ですが暇になります。
で、暇になると人間はどうなるか。
「過去の嫌なことを思い出して落ち込む」
これが、本当によくやりがちなパターンなんです。
メンタルの落ち込みで休職したのですから、当然、休職する目的は「メンタルの回復」です。
それなのに、休職期間中に「思い出す→落ち込む」という負のループにはまってしまう。
結局、メンタルが回復しないまま復帰して、また潰れる…というのが、絶対に避けるべき最悪のパターンです。
これを防ぐために、まずは意識を変える必要があります。
「私はうつ病」というレッテルを貼らない
病院で診断書をもらった方もいると思いますが、「私は心の病気なんだ」
自己認識(セルフイメージ)は持たないようにしましょう。
「メンタルの状態が下がっている」という認識でいた方が、回復しやすいからです。
メンタルヘルスになったことがない、
知識もなかった方が、
病院で医者に
「あなたは〇〇病です」と言われて、
「ああ、自分は精神病なんだ…」と絶望して、
ずーっと、何年も、
「私は精神病者」というセルフイメージを
変えられないことがあります。
薬は対症療法。大切なのは「思考の転換」
私の話をすると、数年間、抗鬱剤や抗不安薬を飲んでいました。
それで良くなると思って飲むわけじゃないですか?
しかし、何か自分が自分じゃなくなっていくような、人形みたいになっていくような感覚がずっとありました。
問題を解決したくて薬を飲むのに、「薬を飲むことで新しい問題が生まれる」という違和感が、ずっとありました。
ただ、本当に辛くて、最後に藁にもすがる思いで有名な心療内科に行きました。
診察室には気難しそうな顔の男性の医者がいて、2〜3分、事務的に話を聞いた後でこう言われたんです。
「あなたは双極性障害です」
「完治するには、長い年月がかかります」
事務的に、それだけ言われ、山程の薬を処方されました。
それで終わり。
私は、その時
怒りが湧いてきました。
「お前に俺の何がわかるんだ」
「何でお前に、俺の人生を決められなきゃいけないんだ」
帰り道、ゴミ箱に薬を全部捨てました。
そこから、
二度と心療内科には行ってません。
もちろん、
信頼できる医者もいると思いますが、
「その症状になったことのない人」が「飲んだこともない薬を出す」という構図は、意識しておいた方がいいと思います。
(※これは私の極端な例です。医師の指導を否定するものではありませんが、自分に合うお医者さんを見つけましょう)
私が実体験で出した結論は、
「薬では完治しない。自分の考え方、価値観、信念を根本から書き換える必要がある」 でした。
そこで、有名な心理療法家のカウンセリングを受けに名古屋まで行ったり、タッピングセラピー、一流のメンタルコーチからコーチングを受けたり、鍼灸や整体などにも通いました。
さらに、自分自身でセルフコーチングできるようになるために、認知行動療法、NLPなど様々な心理メソッド、心理技術を徹底的に学びました。
それらが実を結んで、
自分の中の偏ったり、制限的だったり、悲観的な価値観を徐々に手放していき、自分を肯定できたり、ありのままの自分を受け容れられるようになっていきました。
休職中にやった方がいいこと
元引きこもり経験者の私が断言しますが、
家にずっといると、
カラダもココロも弱っていきます。
「運動不足」
「日光を浴びない」
「暇なので嫌なことを思い出す」
原因としては、
この3つが大きい。
では、メンタルを回復させるために
どうすれば良いかというと、
「規則正しい生活」
これに尽きる。
・朝日を浴びる(メンタルの安定)
・散歩する(運動不足の解消)
・瞑想をする(負の思考ループを解消)
・夜更かしをしない
。ゆっくり風呂に浸かる
・スマホを見過ぎない
・ヘルシーな食生活
そして、自分の
「楽しい」「喜び」
そういった気持ちや欲求に
意識を向けることが大切です。
「支えてくれる人」の存在
そしてもう一つ。
「一人で抱え込まないこと」です。
私が一番辛かった時期、 当時付き合っていた彼女が、心配してずっと寄り添ってくれていました。
何も言わず、ただそばにいてくれた彼女の存在が本当にありがたかった。
もし、彼女がいなかったら本当にやばかったかもしれない。
一人だったら、立ち直れなかったかもしれない。
休職中は孤独になりがちだからこそ、「人に話を聞いてもらう」「人に頼る」ことが大切です。
あなたはロボットじゃない。逃げてもいい。
ハッキリ言いますが、仕事なんて、人生の1要素でしかない。
今の職場が合わないなら、他の仕事をしてもいいんです。
その前提があった上で「私は復帰して頑張りたい」と思うなら、納得するまでやり切ればいい。
「しなきゃいけないこと」なんて、
人生にないんです。
あなたが、やりたいことをやればいい。
そのためにも、
休職期間中にメンタルを回復させることに集中しましょう。
ただ、焦りは禁物です。
「頑張り過ぎてこうなった」
「自分に無理をさせ過ぎた」
というのが改善ポイントなんです。
「自分はどれだけ無理をしてもいい」
「まだまだ努力が足りない」
そうやって自分を追い込む生き方は、
今回で卒業しましょう。
あなたはロボットじゃない。
人間なんだから。
自分を大切にしてあげてください。
復帰後に意識すべきこと
ちゃんとメンタルを回復させ、
いよいよ職場に復帰したら、ここからがスタートです。
正直に言います。
復帰初日、私は強烈な「洗礼」を受けました。
復帰初日に突きつけられた絶望と覚悟
休職中も様々なことを学びながらずっと準備して備えて、いざ当日。
覚悟を決めて会社へ向かいました。
会社の前の駐輪場に着いた時のことです。
仲の良かった同僚のご夫婦とばったり待ち合わせしました。
私は努めて明るく、
「おはようございます」と挨拶しました。
次の瞬間、 旦那さんが無言で、奥さんを自分の背中の方へ手で隠すように庇ったんです。
一瞬、何が起きたのかわかりませんでした。
でも、次の瞬間に理解しました。
「ああ、『精神異常者』だと思われているんだ」
「危険な奴だと警戒されているんだ」
その時、ここから復活するまでの道のりが、どれほど困難なものになるのか、痛いほど理解しました。
「どないせえっちゅーねん…」と、
ちょっと乾いた笑いが出てきました。
「マイナスからのスタート」を自覚する
こんな極端な事例は少ないと思いますが、ただ、周りからの評価は相当下がっていると思われます。
そこはもう、しょうがない。
メンタルヘルスに理解のない人からしてみれば、得体の知れない、不審な目で見てくる場合もあるし、腫れ物に触るような感じの人もいる。
ものすごく見下してくるような人間もいる(全部私が体験したことです)
「マイナスからのスタート」
ということは、受け入れないといけない。
だからこそ、復帰までに
しっかり自分の状態を回復させておく必要があります。
当たり前ですが、簡単じゃないですよ。
でも、
「復帰する」という選択を自分で決めたのだから、ハラを括りましょう。
ミスをしないことを最優先にする
復帰直後は、とにかく急がず、焦らず、手堅く仕事に取り組みましょう。
メンタルの状態が下がっていると、ミスをする確率が高くなります。
ミスをすると落ち込み、「負のループ」にハマってしまうので、とにかくミスをしないように、丁寧に仕事をしましょう。
「快適な人間関係」をデザインする技術
人間関係に関していうと、評価・信頼は半年〜1年くらいのスパンで取り戻していく位の、長い目で見るのがいいかもしれません。
私の場合は、1年かけて評価・信用を全て取り戻しました。
その中で、
「仕事に取り組む姿勢」「人との関わり方」など、全てを変えました。
休職する前は「敵だらけ」だったんですが、その頃には、敵がいなくなりました。
そもそも、
人と戦うのをやめたんです。
私は、その時期の
膨大な試行錯誤の経験によって、
「快適な人間関係をデザインする技術」
を作り上げました。
具体的には、 NLP(神経言語プログラミング)の中にある「リフレーミング」という技術を使いました。
あらゆる物事は両面がある。
短所は長所にもなり得るし、長所は短所にもなり得る。
ネガティブなものは、自分がネガティブな見方をしているだけ。
その「見方のフレーム」を変えることを意識しました。
相手を承認するコミュニケーション
あとは、デール・カーネギーの名著『人を動かす』
ここからも徹底的に学びました。
「相手を否定しない」
「相手を承認する」
コミュニケーションスタイルを、これに一変させました。
それ以前の私は、 人を変えようとしたり、攻撃したり否定しようとしたり、支配しようとしたり、無理やり言うことを聞かせようとしたり……
そういうコミュニケーションの取り方しか学んでこなかった。
ただ、そこからコミュニケーションの取り方を抜本的に変えたことで、徐々に人から信用・信頼されるようになっていきました。
その頃には、自分の性格もだいぶ変わっていて、誠実な人間になっていったと思います。
どんなにややこしい性格の人とも、
「快適な関係性」をつくることはできます。
なぜなら、その人も人間だから。
誰にでも「好き/嫌い」はある。
なら、
その人の「好き」の範囲に、
自分が入ってしまえばいい。
最悪でも、
「敵」の範囲に入らなければ問題ない。
そして、人は
「自分のことを認めてくれる人」
「自分のことを承認してくれる人」に
嫌な気持ちを感じることは、まずない。
最終的に、仕事を
上手くいかせるために必要なのは
「コミュニケーション能力」なんです。
そこも、
学んで向上させていきましょう。
休職しても、人生はやり直せる
いかがだったでしょうか?
ちなみに、
休職した時の自分は
全く想像もしていなかったのですが、
今では、
ビジネスメンタルトレーナーとして、
全国の「悩める会社員」の方々のサポートを行なっています。
人生、
何がどうなるかわからない。。
休職しても、
別に人生が終わるわけじゃない。
その最中にいる時は辛いけど、
後から、
人間的な深みが出る経験になったりします。
大丈夫。
あなたなら、乗り越えられる。
応援しています。

